Cher(シェール)

■■Bang Bang My Baby Shot Me Down〜The Best Of('90)
カリフォルニア出身の女性シンガーのシェールは、現在は女優としての方が知られているかもしれません。ソニー・ボノと組んだソニー&シェールとして64年から70's初めまで活動。このデュオの最大のヒットは、プリテンダーズのクリッシー・ハインドがカヴァーした"I Got You Babe"('65,Atco)でしょう。そしてデュオと並行してソロでも活動を始めます。64年にCherilyn名義で出た"Dream Baby"(Imperial)は、ボノ作でドリーミーなスペクター風ポップス。
続くのが65年のディラン曲"All I Really Want To Do"(#15)で、こちらはバーズよりも先にヒットさせています。バーズのヴァージョンがいわゆるフォーク・ロック作品としてarrされていましたが、その象徴ともいえる12弦gよりもシェールのvoの方が前面に出ています。

僕の手持ちは90年にEMIから出たImperial時代のコンピレーションCDは、さわやかなイメージのシェールの楽曲はそれほど多くなく、Imperial時代では、ジャッキー・デシャノンのカヴァー"Come And Stay With Me"、ややダークな味わいはありますがキンクスのレイ・デイヴィスのあまり知られていない作品"I Go To Sleep"、"Where Do You Go"、ボノとジャック・ニッチェが書いてサーチャーズがヒットさせた"Needles And Pins"など。66年には下世話というか、通俗的なメロディの"Bang Bang"がヒット(#2)して、むしろそういった路線が後に定着します。

ナンシー・シナトラがカヴァーしたこの曲はタランティーノ監督の「キル・ビル」でも冒頭で使われていました(そっちのヴァージョンが)。68年にはサザン・ソウルにチャレンジした意欲作「3614 Jackson Highway」(Atco)がリリース。
この後は71年にはKappから"Gypsys,Tramps & Thieves"が#1となるヒットとなります。この路線は"Half Breed"('73#1)、"Dark Lady"('74#1)と続きます。エキゾティックでゴージャスで下品なメロディーの数々。


76年にはWarner Brosよりフィル・スペクターがprodのニルソンとのデュエット曲"Love Like Yours"(マーサ&ヴァンデラスのカヴァー)をリリース。実はこれが一番好きです。Warner Spectorというレーベルも短命に終わり、ディオンの「Born To Be Together」くらいしかないのでは?

この頃は、オールマン・ブラザーズ・バンドグレッグ・オールマンの恋人で、「Allman & Woman」というデュオアルバムも出しています。80'sに入ると映画の仕事が多くなりメリル・ストリープがまだ有名でない頃の傑作「シルクウッド」やオスカーを取った「月の輝く夜に」が有名。

シルクウッド [DVD]

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そして99年、半世紀ぶりの#1ヒット"Believe"が出ました。