Chopyn(ショパン)

グランド・スラム(紙ジャケット仕様)

グランド・スラム(紙ジャケット仕様)

■■Grand Slam('75)
DJMから素敵なソロがある、後期ブルー・ミンクのアン・オデル(kb,vo)が、ブルー・ミンクのような匿名的な演奏に飽きツアーできるバンドをやりたいという事で、元ロックワーク・ショップのレイ・ラッセル(g)、当時は18歳だったというサイモン・フィリップス(ds)、デニー・マカフリー(vo)、クライド・マクムリン(b)と結成した5人組。75年というなんともビミョーな時期にJetというこれまたビミョーなレーベル(共にニッチなという意味)に残した本作の後解散したのは、マネージメントのトラブルだったらしい。音楽的になんでもありのバンドらしく、プログレっぽいものから、ファンキーなハードロック、メロディアスなポップまで幅広いが、よくあるように焦点がボケてるのは事実。オデルという人がシンセやクラヴィネットもこなす事から、音楽的な幅が広がった感じはある。冒頭の"In The Midnight Hour"は、言うまでもなくウィルソン・ピケットの有名なR&Bクラシックだが、原曲を解体した奇妙なハードロックになっている。リードvoのマカフリーという人は、白人ながらソウルっぽいバンドをやってたらしく、いわゆるシャウト系では全くなく、ハードロックには不向きなのだけど、伸びのある声は"Wasting Time"や"Girl At The Top Of The Stairs"で生かされている。オデルのvoは"Space Nativity"(これは名曲)や"Insomniac Arrest"(なんともイギリス的な感じだ)で聞けるが、クールなリンジー・ディ・ポールっぽい印象も受ける。クォーターマスのインスト、"Laughing Tuckle"のカヴァーは、バンドの演奏能力が高い事を示すもの。