Urgent / Foreigner ('81)

 アージェントつながりで。但しこちらは「せっぱつまった」という形容詞。
「全科目平均点の優等生」とフォリナー(本当はフォーリナーなのだけど、何故かフォリナーで通っている)を評したのは、音楽評論家の渋谷陽一氏で、確か2枚目「Double Vision」のライナーだった気がする。
キング・クリムゾンイアン・マクドナルド(kb、sax、fl)、元スプーキー・トゥースのミック・ジョーンズ(g、vo)、元ブラック・シープのルー・グラム(vo)、元イフのデニス・エリオット(ds)そしてエド・ガギラーディ(b)、アル・グリーンウッド(kb)の6人組の英米混成バンドなので、「外国人」を名乗ったという。この面子だと格調高いロックを予想するが、77年のデビュー盤では、親しみやすいポップロックを展開。ジョーンズがいた時期のスプーキーズが、すでに初期のヘヴィさを失って、歌うメロディのハードロックだったことを考えると、予想通りかもしれないが、当時の日本の音楽雑誌はそんな事は伝えてくれなかったのだ。
(ちなみにフォリナータイプの歌うハードロックの元祖は、ストライダーという説もある)
ラジオから流れる洋楽を浴びるように聞いてた頃だったので、特に好きでなくても初期の3枚は、なじみ深い。マクドナルドにクリムゾンのデビュー作の感じを期待してた、日本の多くのファンの一人だったし、なんでもっとフルート吹いてくれんのかな?とも思っていたが。

81年の「4」はメンバーチェンジ後のもので、bはコチーズのリック・ウィルスに代わり、4人組となっている。MTV前夜のアメリカのチャートを席巻した1枚で、2枚目のシングルカットの”Waiting For A Girl Like You”はそれこそ耳タコ状態だった。
日本で、こういったgやkb、synの派手なアレンジの、大げさなロックを「産業ロック」として誹謗するムードが起きるのは、もう少し後の事で、それこそボストン、カンサス、エイジア、スティックス、ジャーニー、REOスピードワゴンといったあたりが、槍玉に挙げられた。フォーリナーもその中に入ってたと記憶するが、好き嫌いはあれ(僕は好きではないけど)あの感情的なバッシングの仕方は、女性週刊誌的だった気がするなあ。金儲けの為、ビジネスと割り切ってのコマーシャルな音楽に対しての、反感という点では、わからないでもないが。

話がそれてるが、”Urgent”は「4」からのファーストシングル。何故か、ジュニア・ウォーカーがsaxで参加。ウォーカーは、60’sにジュニア・ウォーカー&オールスターズを率いて、”Shotgun”のヒットを出した、モータウンの黒人sax奏者。このフォリナーのヒット曲(最高位#5)への参加がきっかけで、再び脚光を浴びる、と言う晩年における有終の美を飾った。これって例えば、ユーリズミックスのヒット曲でスティーヴィー・ワンダーのハーモニカが聞けるぐらい、当時としては異色のコラボレーションだったのかも?

というわけで、次は「ゲストのサックス奏者が印象的なソロを吹く曲」で繫げよう。


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