Frankenstein / Edgar Winter Group ('72)

兄貴が出たので、弟も語ろう。69年に「Entrance」でデビューした、エドガー・ウィンターは、兄のジョニーが、ほぼ100パーセントブルーズがルーツなのに対し、ブルーズ、R&B、ジャズをルーツに持つ人。kb類、sax、percを担当するマルチプレーヤーで、71年にはホワイト・トラッシュという大所帯のバンド(ロックと言うよりも白人ソウルだろうね)を結成。有名なライヴ盤「Roadwork」では、リック・デリンジャー(g)、ジェリー・ラクロア(vo)そして、ジョニー(g)の参加で大いに盛り上がるが、苦手。
好みで言えば、ポップなロックに転向したエドガー・ウインター・グループ期がベストか。
ダン・ハートマン(vo、g,b)、チャック・ラフ(ds)、ロニー・モントローズ(g)にエドガーを加えた4人組だが、当初は非公式にリック・デリンジャーも参加(モントローズ脱退後は正式メンバーに、またジェリー・ウィームス(g)と言うメンバーもいた)。72年の「They Only Come Out At Night」は毒々しいジャケだが、中身は優れたポップロック。僕は東海岸のハードロック的な位置づけをしているが、もちろんファンキーな味付けもある。稀代のメロディ・メーカー、ハートマンの参加によって極の幅がぐんと広くなった。
”Frankenstein”は、#1を獲得したシングルで、インストゥルメンタルエドガーはarp、piano、organ、timbalsを担当。順番にソロを取ってゆくなど、なかなかエキサイティングなナンバーで、synのトーンは、ビリー・プレストンの一連のインストヒットに通じるものがある。今だったらクラブ受けしそうだ。
このメンバーでもう1枚「Shock Treatment」更に、ソロを挟んで、もう1枚(「謎の発行物体」)ある。この辺までが個人的にリピートできるエドガーだ。


フランケンシュタインとは、言うまでもなくメアリー・シェリーによる19世紀の小説に出てくる科学者の名前で、よく混同されるが、モンスターはフランケンシュタイン博士が創造した「フランケンシュタインの怪物」。死体を素材にして人造人間を作り出すのに成功したが、誤って犯罪者の脳を使用した為悲劇が起こった、と言う話。
30年代にユニヴァーサルで映画化された、ボリス・カーロフ主演の映画版が有名。その後、60年代に英国ハマーフィルムのリメイクがあって(主演はクリストファー・リー)、更にコッポラによる90年代にリメイクでは、ロバート・デ・ニーロがモンスターを演じた。


カーロフ版の悲しみをたたえた素晴らしさは、ヴィクトル・エリセ監督の名作「ミツバチのささやき」にも引用された。
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