Molten Gold / Paul Kossoff

Finyl2005-04-12


色もの。
僕が洋楽を聴き始めた時には、フリーはすでになく(ポール・コソフすら故人だった)、バッド・カンパニーの前身バンドといった認識だったのだ。パープルを好んで聞いてたロック初心者の中学生でも、いいなあ、と思わせる泣きの部分がフリーにはあって、「ファイア&ウォーター」はかなり早い時期に買った1枚だった。ポール・ロジャースの歌い方は、なんでメロディの上にうまく乗らないのだろうとか(あれがソウルフルなのだ、と感じるようになったのはずいぶん後だ)、バカなこと考えてた中学生だが、コソフに明るくない、それでいて暗いというのは少し違う、gに胸をかきむしられるような衝動を覚えた。魂の叫び、とか、心の叫びなんて書くとチンプだけど、心がざわざわするようなgだ。
フリーというバンドは、何度も解散、集合を繰り返しているが、コソフは、73年にソロ「Backstreet Crawler」をリリース。ドラッグ問題でコンディションは最悪だったにもかかわらず、アルバムの出来はいい。Molten Goldは、アンディ・フレイザー(b)、サイモン・カーク(ds)、ポール・ロジャース(vo)、ラビット(p)とフリーの再現を実現させた名曲。そして元ブロンコのジェス・ローデンのソウルフルなコーラスも印象的だ。小品とは逆の、片面を使った大作の”Tuesday Morning”も長さを感じさせない出来だ。
その後コソフのドラッグ問題はいよいよシリアスとなり、バックストリート・クローラーを結成するも、76年にドラッグのオーヴァードースによる心臓麻痺で亡くなっている。