カップルズ / ピチカート・ファイヴ

Couples
風来坊さんのレスを書いてたら聞きたくなってきた。
初代voの佐々木麻美子をフィーチャーしたピチカートの最後のアルバム。デビュー当時はテイチク傘下のノン・スタンダードという細野晴臣設立のレーベルから、かわいらしいテクノサウンドだった彼らは、長門さんが当時やっていた南青山の伝説的レコードショップの「パイド・パイパー・ハウス」の広告(毎月ミュージック・マガジンに載っていた)にデビュー前からライヴの告知があって、地方にいたぼくなんかは、東京的なバンドなんだろうなあ、と憧れに近いものを抱いていた。「オードリー・ヘップバーン・コンプレックス」なんていう素敵なタイトルの12”は、すぐ買った覚え。その時代のサウンドは特に好きではなかったけど、まだほとんど語られる事もなかったハーパーズ・ビザールのカヴァーが気になってた。で、ソニーから出た「カップルズ」。今ではA&Mサウンドとか、ロジャー・ニコルズの〜なんて書けるけど、A&Mなんてカーペンターズ以外しか知らなかった当時(まだロジャニコもCD化されてない)、この気持ちよい音楽はロックなのか?と大いに悩んだ記憶。描かれる世界はビリー・ワイルダーの映画やアーウィン・ショーの小説の主人公のように、都会的で、オシャレで、スタイリッシュで(どれも同じ意味か?)、ため息が出た。ジョン・セバスチャンのデビュー作から”Magical Connection”をカヴァーしたというセンスも大好きだったけど、このラインナップはあっけなく崩壊。
インストの”パーティー・ジョーク”は、当時音楽を担当した国生さゆり伊藤智恵理主演のドラマ(忘れた)のBGMとしても使われた。大好きな”サマータイムサマータイム”の入った、A面が素晴らしい。♪お昼ごはんはサンドウィッチだけ、食べたくもない〜というフレーズは、気が進まない昼食の時無意識で歌ってるフレーズなので、無意識下でしみこんでるんだろうなあ。
佐々木麻美子は松竹映画の音楽プロデューサーとして、鴨宮は、マンナを結成、小西、高浪は、オリジナル・ラヴから田島を加え、今度はノーザン・ソウル色の濃い「ベリッシマ」をリリース。この路線で行くかと見せ、映画音楽的手法を取り入れた「女王陛下のピチカート・ファイヴ」(傑作)をリリースし、野宮をフィーチャーした第3期に移ってゆくのだ。