Ringing Doorbell In The Rain / Valerie Carter

Just a Stone's Throw Away
雨の歌#6
ハウディ・ムーン時代はぽっちゃりでルックス的にさえなかった、ヴァレリー・カーターが77年にソロになった時は、折からの女性ヴォーカル・ブームで、ポスト・リンダ・ロンシュタット探しのため、各レコード会社がしのぎを削っていた。EW&Fのモーリス・ホワイトがCBS傘下の設立したARCというレーベルは、結局のところスタートすらしなかったような印象だけど(ジョン・ホールの「Power」はそうだと言われてるが、クレジットは未確認)、ヴァレリーの「Just A Stone’s Throw Away」もひょっとしたらそうかも知れない。
ジョージ・マッセンバーグのprodで、リトル・フィート、EW&Fのメンバーが参加した、新人のデビューアルバムにしては豪華な布陣。タイトル曲は、カンガルー(ジョン・ホールもいた)のバーバラ・キースが書いたもの。シングルカットされた”Ooh Child”は、ファイヴ・ステアステップスのソウル・チューンで、これを可憐にソウルフルに料理。ヴォーカリストとしての存在感は、まだまだだが、ハウディ・ムーン時代よりは大きく進歩。このRinging Doorbell In The Rainは、シーナー&コスのロン・コスとの共作で、この辺はハウディ・ムーンのアルバムにも加わっていたジョン・セバスチャン人脈だろう(そのセバスチャンの「Tarzana Kid」でローウェル・ジョージと共演した”Face Of Appalachia”をここでもカヴァー)。ボブ・グロウブ(b)、ジェフ・ポーカロ(ds)らしい歯切れのいいリズムが実にカッコいいが、ヴァレリーのしっとりした歌もまた泣かせる。