ラヴ・ハンター(ホワイトスネイク)

Love Hunter
■Love Hunter / Whitesnake
僕にとってパープルの歌といえば、イアン・ギランよりもやはりデヴィッド・カヴァーデイルだ。特に4期パープルを愛する身としては、clavinetを使ったジョン・ロード(なぜかこの時期多用していた)のプレイとカヴァーデイルの息使いあふれるソウルフルな唱法だろう。
パープル解散後リリースされたソロ2枚(うち「Northwind」はかなりの傑作)は、契約の関係で、イギリスで音楽活動が出来なかったので、ドイツで歌入れ、バックはロンドンで、という変則スタイルだったという。パンク〜ニュー・ウェイヴの時代にオーソドックスなブルージーでファンキーなロックンロールは受け入れられるわけもなく、セールス的に燦々たるものだった。78年に本国で活動できるようになると、ホワイトスネイクを結成。最初は、ミッキー・ムーディー(g/スナフー)、バーニー・マースデン(g、vo/ベイブ・ルース)、ニール・マレイ(b/ギルガメッシュ)、デヴィッド・ドウル(ds/ストリートウォーカーズ)、ピート・ソリー(kb/スナフー)という実に渋いラインナップだったけど、やはりいろいろ言ってもカヴァーデイルは、自分がイニシアティヴをとった3期スタイルのハードロック(あの時は、グレン・ヒューズがいた)をやりたかったようで、ジョン・ロードイアン・ペイスといった元パープルのメンバーを次々と加入させた。折りしもハードロックに追い風が吹きつつあった、80’s初頭、このメンバーでイギリスでは成功。
更に市場をアメリカに見据え、メンバーチェンジを繰り返し、成功してゆくのだけど、この頃はもう別のバンドで、初期の泥臭さは皆無だった。
この「Love Hunter」(’79)は、Liberty傘下のSunburstからリリースされたが(よって英国ではパープル時代からずっとEMI系だったわけ)、日本ではポリドール配給。初期のホワイトスネイクを象徴する、ミッキー・ムーディーのねちっこいスライドを聞かせるナンバーもあるが、すでにヒット曲狙いの方向もあって、”Long Way Home”ではいきなりvoから始まるポップなメロディー。前作から参加したロードの弾clavinetがハードロックとミスマッチする感じがおもしろい。いかにもパープルといった感じの”Mean Business”は、逆にパロディっぽい。素晴らしいのはブルージーな"Walikin' In The Shadow Of The Blues”、”Help Me Thro'The Day”そしてタイトル曲。当時僕は高校生だったが、ジャケットのセンスにはさすがに呆れた記憶がある。日本盤LPの山田道成の解説はウソばっかり。