ブライアン・オーガー、ジュリー・ドリスコール&ザ・トリニティー

Streetnoise
■Streetnoise / Brian Auger、Julie Driscoll & The Trinity
60'sにはスティームパケットでロッド・スチュワートらと活動していたオルガン奏者のブライアン・オーガーが、パケットの女性シンガー、ジュリー・ドリスコールと組んで独立したのが、このトリニティー。あふれる創作意欲をまとめた2枚組が69年の3枚組「Streetnoise」(原盤はPolydor傘下のMarmalade)。
ラルフ・ステッドマンの印象的な(そしてグロテスクな)カヴァー・イラストで有名なこのアルバムは、オーガーの長いキャリア(その後オブリヴィオン・イクスプレスなどで活躍)の中でも、初期の代表作だろう。ジム・モリソン(”Light My Fire”のカヴァーは、ホセ・フェリシアーノのカヴァーを参考にしたという)、ニーナ・シモンローラ・ニーロ、ロック・ミュージカル「ヘアー」からの曲、マイルス・デイヴィスらのカヴァーもいいが、オリジナル曲も充実。ジュリーなしのインスト曲では、ノイジーなオルガンが炸裂する(”Ellis Island”)かと思うと、ジュリーがイニシアティヴをとる”Czechoslovakia”では、68年の「プラハの春」を歌った政治的なメッセージソングで、ロックと言うよりはジャズに近い。元々はフォーク的な資質もあり、R&Bへの傾倒も見せる、ジュリーは、その後ブリティッシュ・ジャズの大物、キース・ティペット夫人となり、その音楽もよりジャズっぽくなってゆくが、それはまた後の話。
ギタリストがいない為、ソロを取るリード楽器は大半がオルガンだが、デイヴ・アンブローズ(b)とクライヴ・サッカー(ds)も単なるリズム楽器に徹しておらず、曲全体のグルーヴを高める役割を十分果たしている。