イアン・ギラン・バンド

Live at Budokan
■Live At The Budokan Vol.1&2 / Ian Gillan Band
僕が洋楽を積極的に聴き始めた77年は、前年に解散したディープ・パープルの残党がこぞって活動を再開し始めた時期だった。すでに人気沸騰だったブラックモアズ・レインボウ、ソロデビューした(全く売れなかった)カヴァーデイル、プログレ的になるのかと思ったらソウルフルだったペイス・アシュトン・ロード、そしてオイスターからアイランドに移籍して心機一転となったイアン・ギラン・バンドと新旧のパープルのメンバーが時を同じくしてLPをリリース。「黄金の」(とは全く思わないけど)2期のシンガー、イアン・ギランは76年に「Child In Time」でカムバックしているが、kbがコリン・タウンズに交代した77年の「Clear Air Turbulence」では、シャウトするvoはそのままで、バンドの音はジャズロック的に変化しており、常にハードロックを求める日本のファンには不評だったが、現在はジェフ・ベックの「Blow By Blow」のエッセンスを引き継ぐ1枚、と言う評価もある。78年の「Scarabus」をリリース後、IGBとして初来日した模様を収めたのがこの「Live At The Budokan」で当時は東芝の自社レーベル、East Worldから2枚に分けてリリースされた。解散してしまったパープルが復活するまでの数年間、こうしたハードロックは、オールド・ウエイヴと揶揄されてかなり虐げられてきたが、少なくとも日本のファンは、IGBをパープルの代用として扱ってきたところに、両者の不幸があったけど、結果的にギランは、この後ハードロックシーンに復帰し、NWOHMのブームもあってカムバックすることになるのでチャラかなあ。メンバーはレイ・フェンウィック(g/元ファンシー)、ジョン・ガスタフソン(b,vo/元クォーターマス)、マーク・ナウシフ(ds)、タウンズ(kb)そしてイアン・ギラン(vo)。
パープル時代の代表曲は、どれもarrを変えて演奏されてはいるが元の曲がしっかり形があるので、なかなかイタい部分はある。演奏はうまいが少々クドく、大げさ。それでも空間的な広がりのある"Money Lender"などはいい。