#3〜Something In The Air

3回目は英国ロックの隠れた名曲を。

映画「いちご白書」のサントラにもなぜか入ってる”Something In The Air”は"革命ロック"なる邦題がついていたこともあった模様。オリジナルのサンダークラップ・ニューマンは、スピーディー・キーン(vo,ds,g)を中心とする3人組で、69年にザ・フーのTrackというレーベルに唯一の作品「Hollywood Dream」を残している。大半の曲はキーンが書き、キーンと後にストーン・ザ・クロウズ、ウィングスに加わったgのジミー・マカロック(マクロウチなのかマクロックなのか不明。ちなみにMcCullochと書く)、アンディー・ニューマン(p,sax,fl,perc)による演奏。ヴォードヴィル調のノスタルジックな曲もあったり、サイケデリックながらソフトな音使いは、どことなく牧歌的な田園風景を思わせる。この曲のイントロのgなんぞ、まさにそんな感じだ。映画「マジック・クリスチャン」(主題歌はバッドフィンガーだった)にも使われたというか、こっちが最初らしい。
Hollywood Dream

典型的な一発屋(1Hit Wonder)だったこの曲は、実はカルトな人気を誇り、93年には富む・ペティー&ザ・ハートブレイカーズが「Greatest Hits」に新曲としてカヴァー。ニュー・ウェイヴとして登場した(レーベルはシェルターだった)トム・ペティーはいつからか、ロジャー・マッギン(バーズ)へのあからさまなオマージュが目立ち、本格的なアメリカンルーツロックへ移行。MTV時代、大味な「アメリカンロック」に辟易していた僕にとって、プロデューサーのジミー・アイオヴァインの作り出す音がどれだけそれこそシェルターになったことか(スティーヴィー・ニックスやローン・ジャスティス、ブライアン・セッツァーなど)。いかにもフォークロック好きなペティらしいカヴァー。
グレイテスト・ヒッツ

鈴木さえ子の4枚目「スタジオ・ロマンティスト」ではさらに一ひねりした音作り。ビートルズの"Strawberry Fields Forever"のフレーズはオリジナルにも聞けたが、ここではその有名なフレーズを隠し味的に使っている。ちょうどさえちゃんがピーター(バラカン)とNHK-FMでやってた「全英ポップス情報」の熱心なリスナーだった僕は、このアルバムの特集でこの曲のカヴァーを耳にしたのだけど、大いに喜んだ記憶あり。リリースは87年だった。