トム・ロビンソン・バンド

Rising Free: The Very Best of Trb
■Rising Free 〜 The Very Best Of TRB
トム・ロビンソン・バンドのデビュー盤「Power In The Darkness」('78)は繰り返し聞いた覚えがある。ゲイであることをカミングアウトした最初のロック・ミュージシャンの一人で、そのために今でいうヤオイ系ファンも付いたりもしたけど、テクニックもなしに勢いばかりのパンク〜ニュー・ウェイヴの連中にあって、ストラングラーズと並んで「音楽的な」バンドの1つだった事は確か。トム・ロビンソン自身はキャリアは結構あって、キンクスのKonkからデビューした、カフェ・ソサイエティーのメンバーだったこともある。デビューヒットとなった"2-4-6-8 Motorway"のキャッチーな魅力はパワー・ポップという言葉にふさわしいものだった(そのB面でオリジナルLP未収録だったディランのカヴァー"I Shall Be Released"がこのコンピ('97)に収められてるのがうれしい。次が4曲入りのライヴEP「Rising Free」でゲイ賛歌の"Glad To Be Gay"もあるが、政治的なメッセージソングもあって硬派なイメージ。"Don't Take No For Answer"(アンサーにノーはいらない、という邦題がカッコよかった)、"Right On Sister"の畳み掛けるような感じは今聞いてもカッコいい。そして「Power In The Darkness」はタイトル曲に尽きる。繰り返されるリズムにorgとgが重なるシンプルなブギだが、ニュース音声が加わり効果をあげている。すべての人に自由をと言う歌で、フーリガン(この言葉を初めて聞いたのはこの歌だった)にも左翼にもレズビアンにもパンクスにも自由を・・・と歌われる。マーク・アンブラーのorgがききもの。