I Can't Hold On 'Till Summer


■Far From The Hurting Kind / Tracie
例えばタレントのベッキーを見ると僕はすぐさまトレイシーのことを思い出してしまうのだ。
ポール・ウェラーが設立したリスポンドの秘蔵っ子であり、クエスチョンズと並んで、志半ばで短命に終わったこのレーベルの看板だったトレイシーは、1枚のLPと数枚のシングルを残してショウビズから足を洗ってしまった。83年のスタイル・カウンシルの初来日に同行したトレイシーは、ソウル・スクワドをバックに30分あまりのステージを中野サンプラザで行った。詳細は忘れてしまったけど、モータウンを白人風のarrしたスタジオ作品とはちがって(まだLPは出てなかった)、かなりラフな印象だった。ジャムのラスト・シングル"Beat Surrender"のコーラスから参ってしまった僕としては、このA&Mが配給したLPを心待ちにしてた覚え。
バナナラマがカヴァーしたウェラー作の"Dr.Love"を始め、ノーザン・ソウルっぽいダンスナンバー(カッティングされるg命)が中心の中、いきなりの、"I Love When You Sleep"(エルヴィス・コステロ作で後に"Jo Porter's House"のタイトルで本人もカヴァー)、そして”I Can’t Hold On Summer”とバラードもいい。この曲を聴く限り、84年という時代のことを忘れてしまう、普遍のメロディーがある。作者はクエスチョンズのバリー/ロビンソン。
で、最近のトレイシーは、というと、Dream107という、ミドルエセックス(ロンドンの東、チェルムズフォード周辺)のラジオのDJをしているという。その姿は昔と変わってない。ほらベッキーみたいでしょ?
http://www.dream107.com/team-tracie-young.php