レイ・フェンウィック


■Riding The Rock Machine〜Groups And Sessions 1962-78 / Ray Fenwick
パープル・ファミリーとは、パープルのメンバーだけではなく、メンバーがかかわったバンドのメンバーも含むことが多い。つまりパープルの場合ファミリーは何百人ともなるわけだけど、当然濃いファミリーもあれば薄いファミリーもある。*1イアン・ギラン・バンドのgtr、レイ・フェンウィックは、元スペンサー・ディヴィス・グループのメンバーで、ジョン・ロードの「バッハ未完成フーガ」、ロジャー・グローヴァーの「バタフライ・ボール」にも参加してるので、それほど薄いわけではない。これは60'sからフェンウィックがかかわったバンドの音源を集めたかなりマニアな企画。スカ・バンドのルパート&ザ・レッド・デヴィルズ('62)、オランダで結成したティー・セット〜アフターティー('67)といったあたりはいかにも古臭い。そのアフターティーから同名の曲を引っさげてスペンサー・デイヴィス・グループに参加。ウィンウッド兄弟脱退後のこのバンドは抜け殻のようと、全く評価の対象になっていないが、"After Tea"はデイヴ・メイスン(sitar)、ジム・キャパルディー(ds)をゲストに加えた初期トラフィック・スタイルのもの。この辺スペンサーはちゃっかりしてる。この時期のメンバー、エディー・ハーディン(vo)、ピート・ヨーク(ds〜彼らもパープル・ファミリー)が脱退後結成したハーディン&ヨークのLPにも参加している。またスタジオ・ミュージシャンとしてTV用のセッションなどで多彩な活動をしており、オランダのミュージシャンとのMusicians Union Band(クラプトンの"Bad Boy"をプレイ)、ミック・グラバム(プロコル・ハルム)らとのGuitar Orchestra、デッカからリリースされたソロ「Keep America Beautiful」などほとんど知られてない音源満載。その中ではアフィニティーのモ・フォスター(b)、レス・ビンクス(ds〜後にジューダス・プリースト)らとでっち上げたファンシー("Wild Thing"をカヴァーヒットさせたが看板の女性シンガーはすぐ交代となった)がいい。アニー・カヴァナー(vo)をフィーチャーしたハードロックの"She's Riding The Rock Machine"、ソロ名義の"Blue Bird"(フリートウッド・マックの"Albatros"風)がいい。
再結成スペンサー・デイヴィス・グループにも参加し、らしくないシングルをリリース。ロジャー・グローヴァー、ジョン・ロードのLPに参加したのはハーディンとの交流からだろうが、その流れでイアン・ギラン・バンドに参加。アイランドからの2枚目「Clear Air Turbulence」('78)は、「Blow By Blow」でジェフ・ベックが見せたクロスオーヴァー的な音をバンドでやろうとしている。但し、ギランがこういう音を本当に望んでいたかは別だが。

*1:パープルの現・元メンバーを#1、#1以外で現・元メンバーーが結成したバンドのメンバーを#2、現・元メンバーのソロなど2枚以上に参加した#2以外の人を#3、1枚に参加した人を#4、現・元メンバーが自分のソロ、バンドのアルバムに参加した場合を#5、現・元メンバーがパープル参加以前に加わってたバンドのメンバーを#6、とするとフェンウィックの場合#3になる