ゲイリー・ライト

■Gary Wright's Extraction
EXTRACTION / FOOTPRINT
ゲイリー・ライトと聞いて、多くの人が思い出すのは76年のヒット"Dreamweaver"だろう。英国バンド、スプーキー・トゥースに参加した唯一のアメリカ人(ニュー・ジャージー出身)kb奏者で、マイク・ハリスン(p)と共にvo(ライトの場合はorgを主に)を分け合い、ここでも2台のkb奏者が非プログレ的な音を出すというザ・バンドの影響がちらほら・・・ 初期の3枚に参加した後脱退し、71年にA&Mからリリースした初ソロが「Extractions」で、ジョージ・ハリスンの「All Things Must Pass」のセッションを通して交流を深めた、クラウス・ヴーアマン(ホントはフォアマンというらしいが,b/元マンフレッド・マン)、アラン・ホワイト(ds/プラスティック・オノ・バンド〜後にイエス)、ヒュー・マクラッケン(g〜マッカートニーの「Ram」に参加したNYのスタジオ・ミュージシャンといったビートルズ関係のサイドメンを中心に、スプーキー・トゥースのマイク・ケリー(ds)、ムーヴのトレヴァー・バートン(b)、ブロッドウィン・ピッグのミック・アブラハムス(g)、そしてドリス・トロイ、マデライン・ベル(ブルー・ミンク)、ナネット・ニューマンがコーラスで参加。音の方はスプーキーで見せたヘヴィ・ロックと、メロディアスなものが混在しており、後者はブレイクする前のピーター・フランプトンとはレーベル、参加ミュージシャンなどでイメージがダブる。スプーキーが「The Last Puff」で取り上げる"The Wrong Time"(そっちはハリスンが歌う)、"Get On The Right Road"、"I Know A Place"、"Too Late To Cry"などハード〜へヴィーな路線より、"I've Got A Story"、"Sing A Song"などのメロディアスな路線の方が好みで、次作「Footprints」('72)はこちらをより強調。それにしても"Sing A Song"は稀代の名曲。ピンク・フロイドの"Brain Damage"の元ネタでは?と思わず思ってしまう。