wind#3

SONGS 30th Anniversary Edition
■風の世界 / シュガー・ベイブ
大貫妙子という人のことは割と昔から知ってた。というのは音楽聞き始めた頃はかぐや姫が好きだったから(最初に好きになったアーティストはイルカだった)、同じクラウンのPANAMレーベルという事で、帯の裏などに紹介されてたのだ。そのソロ「Grey Skies」は今聞いても、渋い感じがする「大人の音楽」で当然ながら拓郎やかぐや姫が好きな中学生の手に負えるものではなかったのだ。その当時(77年ごろ)、シュガー・ベイブのナイアガラは、エレックから日本コロムビアに移っていて、レコード屋で何度か見かけた記憶はある。本格的にシュガー・ベイブを好きになるのは、CBSソニーから再再発された80's半ばのこと。
シュガー・ベイブの「Songs」('74)に収められたター坊の3曲のうち、"いつも通り"と"蜃気楼の街"は、その後ソロ時代にリメイクされたり、ステージで取り上げられているが、稚拙ということで本人が封印したこの"風の世界"こそが、シュガー・ベイブの裏名曲のような気がしてならない。村松邦男の硬質なg、山下達郎のハイトーンのコーラス、レゲエ風のリズムパターンなど、今聞いてもなかなか新鮮。ぼくはこの曲に古い「東京」の風景が重なる(初めて上京したのは79年だったけど)のだ。