world#2

ギルガメッシュ(紙ジャケット仕様)
■Worlds Of Zin / Gilgamesh
ギルガメッシュ(一時期テレ東の深夜番組を連想させられてイヤだった(^^;)は、72年にアラン・ガウエン(kb)を中心に結成されたカンタベリージャズロック・グループ。ハットフィールド&ザ・ノースの弟バンドなんて紹介もされているが、両者のメンバーは入り乱れ、弟というよりは双子に近い。フリーフォームな演奏スタイルに似て、メンバーも流動的だけど、ゴウエン、マイク・トラヴィス(ds)、フィル・リー(g)の3人はほぼ固定、bassはなかなか決まらず、初期には後にホワイトスネイクのニール・マレイ、元CMUで後にソフト・マシーンのスティーヴ・クック、エッグのモント・キャンベルも加わったが、最終的にジェフ・クラインに落ち着いた。またピート・リーマーやハットフィールズのデイヴ・スチュワートも加わったダブルkbの時期もあって、この構想はそのままナショナル・ヘルスへと移行することになる。Virgin傘下のCarolineからリリースされたファースト「Gilgamesh」('75)を初めて聞いたのは、80'sの初めにビクターが生産限定品としてLPをリリースした頃で、「不思議な宝石箱」という邦題が納得できる、マジックに満ちたものだった。そもそもジャズ的なものは、個人的に苦手だったのにもかかわらず、カンタベリー系のジャズロックなら一部は「聴ける」のだから不思議だ。ハットフィールズやヘルスより、地味な印象を受けるのは、デイヴ・スチュワートとガウエンのkb奏者の資質の違いで、ガウエンのエレピを中心としたプレイは、派手さにかけるが堅実。クールな印象がある。アルバムの冒頭を飾るメドレー"One End More 〜 Phil's Little Dance 〜 Worlds Of Zin"は名刺代わりのナンバーで、速いテンポでテクニックを見せ付ける。特にフィル・リーの醒めた熱気とも言うべきか、熱っぽいけどどこかクールな印象があるgソロが印象的。
結局、ギルガメッシュはこの1枚でヘルスに移行する形で解散。79年にソフト・マシーンのヒュー・ホッパー(b)を加え一時的に再結成するが、これは別のバンドの別のアルバムの印象で、さらにジャジーとなっており、ここまで来るとお手上げ(ヘルスの2枚目とか)。ただ00年に米Cuniformよりファーストのアウトテイクを中心とした「Arriving Twice」がリリースされ、マレイ、クック、リーマーらのメンバーの加わった演奏が収められており、これらは概して同じ曲でもCaroline盤より派手なarrというのがおもしろい。特にリーマーのsynだけでも結構印象は変わるのだ。