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ホワイト・レディ
●White Lady / Badger
エスの初代kb、トニー・ケイが組んだことでプログレ・バンドとして注目されたバジャーの2枚目「White Lady」('74)は大幅なメンバー・チェンジによって音が180度変わっている。様式を重視した1枚目「One Live」の面影は全くなく、ジャッキー・ロマックス(vo)、ポール・ピルニック(g)を主導としたファンキーな音に方向転換。ニュー・オーリンズ録音で、prodはアラン・トゥーサンという凝り様。ロマックスは元アンダーテイカーズのシンガーで、アップルから鳴り物入りでデビューしたもののセールス的に失敗し、南部志向のソロをワーナーからリリースした人で、名作「Three」でも一緒だったブリン・ハワース(g)も1曲だが伸びのあるスライドを弾いている("Listen To Me")。gtrでいえば、ピルニックという人は影が薄く、ARSのバリー・ベイリーが5曲でスライドを弾く他、タイトル曲ではジェフ・ベックが印象的なソロを聞かせる。それにしても南部的というか、ザ・バンド的というか、この気持ちよさは格別だ。南部志向の英国ロックというと、ついついバジャーのことを忘れてしまうのだけど、ぜひとも記憶にとどめたい1枚。トゥーサンは、この時期フランキー・ミラーやジェス・ローデンといった英国青眼歌手をprodしているが、出来としてはバジャーの方が上だ。リズム・セクションは元アシュトン・ガードナー&ダイクのキム・ガードナーとロイ・ダイクで、その事もお忘れなく。ヘタウマ調のジャケもいい(旧邦題「女と穴熊」というのもいいなあ)。