song#3

Rock on
■Song For Jenny / Humble Pie
ハンブル・パイというとスティーヴ・マリオットのブラック志向が鼻につく感じもあって、それほど熱心に聞いた覚えはないのだけど、名盤とされる「Smokin'」なんか、どうもピンと来なかったのだ。ピーター・フランプトンのいた初期はデビュー作を大昔に聞いたっきりだったけど、通算4枚目になる「Rock On」('71)を何となく買ってみたけど、予想以上にいい。よく言われるようにフランプトンとマリオットの個性のぶつかり合いがいい方に作用している。冒頭の"Shine On"は後にフランプトンの「Comes Alive」でも聞けるものだが、ポップなメロディーが印象的。後期スモール・フェイシズ的な諧謔性を持った"79th And Sunset"、マディー・ウォーターズのブルーズ"Rollin' Stone"(後半のverseはスペンサー・デイヴィス・グループもやっていた"My Babe"から)、強力な"Stone Cold Fever"(harpが素晴らしい)、"Soul Grain"とA面はほぼ完璧な内容。B面はスワンピーな"A Song For Jenny"でスタート。BJコールのsteel、ドリス・トロイ、クラウディア・レネアー、PPアーノルドのゴスペル・クワイアも見事。フランプトン作の"The Light"は、フランプトンの持つ甘さをたたえつつ、変化し続けるバンドらしくマリオットがイニシアティヴをとった後期のグルーヴも感じさせる。唯一グレッグ・リドリーが歌う"Big George"はボビー・キーズのsaxをフィーチャーした骨太のブギー。"Strange Days"はインストパートが多い長尺もので、前半はホンキートンクなpianoをフィーチャー。ラストの"Red Neck Jump"ではニュー・オーリンズ・スタイルのR&Bを下敷きにしていて、同時期のブリティッシュ・バンドとしてはかなりの本格派だ。