silly#3


■Silly Boy / Tony Ashton & Jon Lord
トニー・アシュトンという名前はパープル本の中でよく出てくるが、ハードロック・ファンにはなかなか縁がない人。古くはレモ4、アシュトン、ガードナー+ダイクのメンバーでファミリーやメディシン・ヘッドにも加わった経験もある職人型kbプレイヤー&シンガー。パープルのジョン・ロードとのつきあいは古く、71年のロードの初ソロ「Gemini Suite」に早くも参加している。この人の音楽は基本線はブルーズとジャズだけど、ホーンを入れたビッグバンド+ロックンロールという線もある。74年(この年は実はパープルの鬼門の年で悪評たらたらの「Stormbringer」を出し、ロードはソロ「Windows」、更にトニー・アシュトンとの「First Of The Big Bands」*1のリリース、ロジャー・グローヴァーのソロ「Butterfly Ball」への参加などかなり多忙だったようだ)の共作アルバムを記念しての唯一のライヴは、おそらくBBCの「In Concert」用に組まれたギグで、無駄に豪華なラインナップが参加。パープルからイアン・ペイス(ds)、ドタドタとオカズの多いdsもう一人は、カーマイン・アピス(元ヴァニラ・ファッジ)、ロードからみのセッションにはおなじみのレイ・フェンウィック(g〜元スペンサー・デイヴィス・グループ)、ファミリーのジム・クリーガン(g)、何故かハミングバードのマックス・ミドルトン(kb)とフォザリンゲイのパット・ドナルドソン(b)。これに6人のホーン(ハウイー・ケイシーやディック・パリーも)と7人のコーラス(ブルー・ミンクのマデレーン・ベルも)という具合。03年にWindsongから出た「First Of The Big Bands-Ashton&Lord」*2はモニュメント的な意味合いが強いが臨場感はある。
"Silly Boy"はゴージャスなバラードで、ロック?と聞かれるとちと苦しい。旧邦題は「おバカさん」だった記憶。けどこういうのがアシュトンはやりたかったんだろうし、パープル解散後再び組んだPAL(英国ファンキーロックの白眉だと個人的には思う)はこの発展型になる。74年のパープル関係の妙な充実振りというには、スタートしたばかりのパープル・レーベルがカタログを早く増やしたかったという、マネージメントサイドの思惑もあったろうに推測されるが、この辺のところは当然ながらパープルを語った特集では、触れられることはほとんどない(^^;;

*1:画像左下、かつてはパープル(東芝)から日本盤LPも出てた。そう日本では米ワーナーから出てるけど、パープルって英原盤はハーヴェストなので、本来ならば東芝から出てもおかしくなかったのだ

*2:画像上、PALのBBC音源もWindsongよりリリースされていた