#5

ON THE BEACH
■See The Sky About To Rain / Neil Young
偏屈と言われようが、「After The Gold Rush」のよさがわからないのだ。先のレココレの70'sベスト100の2位に選ばれていたが、昔から???だった。僕にとってのニール・ヤングと言えば、「Everybody Knows This Is Nowhere」か「On The Beach」(渚にて)なのだ。
70's半ばのニール・ヤングというと、ダニー・ウィットンとブルース・ベリーの死からダウナーに展開する次作「Tonight's The Nights」の方が一般的には印象深いらしいが、ロケットが突き刺さったシーズンオフの浜にたたずむジャケットがなんともいい味を出す本作は、実は「Tonight's〜」がリプリーズ側より発売拒否をくらい、録音されたもので74年リリース。当然ダウナーな感じは引きずっていて、「Harvest」以来のスタジオ新作と期待されたが、メロディアスな部分は大きくはずされた感じがある(当時「Tonight's〜」のことはちゃんと報道されたのかな)。ブルーズとタイトルに付くものが3つあって、この3曲は音楽スタイルとしてのブルーズではないけど(むしろタイトル曲のほうがブルーズっぽい)、そっけないと言うかストイックな、無駄なものをそぎ落としたメロディーが逆に印象に残る。そんな中美しいメロディーの"See The Sky About To Rain"は、再結成バーズのアルバムですでに取り上げられていたもの。ヤングがエレピを弾きながら歌う異色のナンバーだが、共同prodのところにマーク・ハーモンの名前があってビックリ。ベアズヴィル・スタジオのエンジニア出身でポコのprodを手がけた人。そういえばザ・バンドからリック・ダンコとリヴォン・ヘルムも別曲だが参加している。
ロディアスと言う面では、当時の恋人で女優のキャリー・スノッドグレスに捧げられた"Motion Picture"のシンプルなメロディーもいい。枯れたスライドはラスティー・カーショウが弾いている。これが入ったB面は、ブルージーなタイトル曲と"Ambulance Blues"と3曲しかないが、どれもいい。こちらは共同prodとして、ジェファーソン・エアプレインを手がけたアル・シュミットの名前がある。