sea#2

No Fun Aloud
■Sea Cruise / Glenn Frey
82年にグレン・フライの初ソロ「No Fun Around」が出たとき、イーグルスの解散はまだ正式に発表されておらず、「充電中」だったと思う(その後ドン・ヘンリーのソロが出て、どちらかが公式に解散表明した)。だからわりと趣味的な1枚(同じ時期ジャック・マック&ハート・アタックやルー・アン・バートンをフライはprodしていて、R&Bに傾倒していたことは知っていた)と多くのファンは思ってた。元々デトロイト出身で、ボブ・シーガーとバンドを組んでた事もあって、R&Bを浴びるように聞いてきただろう事は想像できるが、イーグルスの音楽にあって、初期にはそれは巧妙に隠されていた。ビル・シムジクがprodするようになった「On The Border」以降、R&B(当時は「ソウル・ミュージックへの接近」という言葉が良く使われた)的なニュアンスはフライよりむしろヘンリーにあったと思い込んでいたのだ。
さてマッスル・ショールズとLA、マイアミで録音されたこのアルバムは、イーグリーなナンバーもあことはあるが、いわゆるフォーク・カントリー的な要素は一切ない。"Peaceful Easy Feeling"を書いたジャック・テンプチンがいくつかの曲を共作しているのにかかわらず。オリジナルに混じってR&Bのカヴァーが2つ。"I've Been Born Again"とこの"Sea Cruise"。後者はジョン・フォガティーもカヴァーしたフランキー・フォードの59年のヒットで、ヒューイ・ピアノ・スミス作。いわゆるニュー・オーリンズ産のR&Bだろう。ロジャー・ホーキンス(ds)、デイヴィッド・フッド(b)にデイヴィッド・ホーク・ウォリンスキー(org)、ダンカン・キャメロン(g)が参加している。