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Blind Dog at St. Dunstans
■Can You Hear Me? / Caravan
70's後半多くのプログレ・バンドが衰退してゆく中で、ポップに変化を遂げてゆくものもあれば、志をそのままに非商業的な活動を地下にもぐって続けてゆくものもあった。ビッグ・ネームはそれなりのセールスを記録してはいたが、時代の流れは急速で、特にプレスはハードロックとプログレを古色蒼然としたDinosaur(恐竜)、New Waveに対してOld Waveと呼んだりした。
キャラヴァンの76年作「Blind Dog At St.Duntans」は、デラムからBTMに移籍してのもの。実は「For The Girls〜」以後のキャラヴァンはあまりに「ポップになった」と解説などで書かれるため敬遠していたが、今の耳で聞くと全然Okで、プログレっぽい演奏を聞かせるメロディアスなバンドという感じ。パイ・ヘイスティングス(g,vo)、リチャード・コウラン(ds)のオリジナル・メンバーに、すっかり顔となったジェフリー・リチャードソン(vn,fl,sax)、前作から加わったマイケル・ウエッジウッド(b,vo)、再び脱退したデイヴ・シンクレアに代わってナショナル・ヘッドバンドから加わったヤン・シェルハース(kb)の5人体制で、A面は小品を、B面は比較的長めの曲を並べている。ポップになったといっても、エイジアみたいなものに比べれば、格調の高さは明らかで、ほとんどの曲を書いているパイの作曲能力はさすがに高い。ゲストとして元メンバーのジミー・ヘイスティングス(fl,sax)、アイリーンとドリーンのチャンター姉妹(vo)が加わり華を添えている。派手なイントロの"Here Am I"はキャメル的。fluteの入った"Bobbing Wide"から"Come On Back"につながるあたりは実に滑らか。"Can You Hear Me"では、シェルハースの弾くclavinetが印象的で、いわゆるファンキーな使い方ではないのだけど妙に耳に残るのだ。