■■■■ワイルドバンチ('69米)

ディレクターズカット ワイルドバンチ スペシャル・エディション [DVD]
監督:サム・ペキンパー
主演:ウィリアム・ホールデン、アーネスト・ボーグナイン、ロバート・ライアン
徹底した暴力シーン(ルシアン・バラードのカメラによるスローモーションが美しい)は公開当時、マカロニウエスタン的手法の逆輸入とか、過度な暴力賛美とか、古き良き西部劇(を好むファン)からかなり反発を食らったようだけど、圧倒的な迫力で見せる、ペキンパの傑作アクション・ウエスタン。このワイルドバンチは、ブッチとサンダンスの「壁の穴団」(「明日に向かって撃て!」)の生き残りというのが事実らしい。エドモンド・オブライエン、ウオーレン・オーツ、ジェイミー・サンチェス、ベン・ジョンソン、ストローザー・マーティン、L・Q・ジョーンズ、ダブ・テイラー、ボー・ホプキンス、エミリオ・フェルナンデスら男くさい連中がいい味を出す。ラストで途方にくれたライアンをオブライエンが拾ってゆく様はしみじみするし、更に先ほど壮絶な死を遂げたワイルドバンチの面々の笑顔が挿入され、たった今死んでいった彼らが「それ以前」にまだ明るく笑っている幸福な姿がリプレイされて、観客は物語を二度見るような錯覚に陥るのだ。これは「アメリカン・グラフィティ」で「その後」を見せるのとは逆の手法で、そちらでは物語を共有してきた観客が、現実に戻させる(特にチャーリー・マーティン・スミスがヴェトナムで行方不明、ポール・ルマットが事故死と言うくだり)というか物語から突き放されるような感覚を味わうのと逆だ。このあたりは川本三郎の「ローリング・ストーンズでオルガンを」(音楽之友社)に詳しい。
編集違いのヴァージョン(日本初公開ver、米公開ver、ディレクターズカット)の存在が知られているが、あくまでも細部のみでどのver見ても傑作である事は間違いない。ただこれだけのヴァージョンが存在するのは、やはりペキンパーが会社側と揉める稀代のトラブルメイカーだった事の証明でもあるのだ。
Warner Brothers、The Wildbunch、2h14