■■断絶('71米)

断絶 [DVD]
監督:モンテ・ヘルマン
主演:ジェームズ・テイラー、デニス・ウィルソン、ウォーレン・オーツ、ローリー・バード
55年型のシヴォレー(いわゆるOl'55だ)に乗ったテイラー(driver)、ウィルソン(mechanic)とポルシェに乗ったオーツ(GTO)の、拾ったヒッピー少女バード(girl)をめぐる低体温の恋のさやあてを描く1本。LAからワシントンDCまでのレース(これは実現しなかったが)を交えたロード・ムーヴィーで、俳優たちは寡黙で(ホラばかり吹くオーツは除いて)、やや暗いイメージだけど、この邦題は暗すぎる。sswとして飛ぶ鳥を落とす勢いだったJTビーチボーイズのデニスの共演と言うことで、当時のロック・メディアは大きくもてはやしたが、実際に映画が公開されると、娯楽作、商業作品ではなかった為、賛美の波はすばやく引き、カルトな批評が残った。実存主義的不条理小説で知られるアンダーグラウンド作家、ルドルフ・ワーリッツアーが脚本を担当。”愛の言葉が語られないラヴ・スト-リー”(ヘルマン)だが、いささかわかりにくいのは事実。ただ何気ない描写にそれを補って余りあるものがある。今の視点で見るとヴィム・ヴェンダースに与えた影響も大きそう。
主役の4人はもミス・キャストとも思えるが、今見るとそうでもない。ヘルマンの次作「コックファイター」ではオーツと共演するバードが印象に残るのはそのフツーさからか。当時リアルタイムで見ていたら間違いなく彼女に恋をしてたろう。そのバードはアート・ガーファンクルの恋人として知られていたが、79年自殺してしまう。
95年にシネヴィヴァン・六本木にてリヴァイヴァルされたが、ユニヴァーサルと言うメジャー作品ながら、それまでほとんど見ることが出来なかったのは何故?ヘルマンは「コックファイター」以後、メジャーでは作品を撮っていないが、タランティーノの「レザボア・ドッグス」で製作総指揮としてクレジットされていてビックリした覚えあり。
Two Lane To Blacktop、Universal、1h44