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Ex Fan Des Sixties
■Ballade de Johnny-Jane / Jane Birkin
いつのまにかある世代の人々(特に女性)のカリスマになってしまった感があるジェーン・バーキンだけど、元々はイギリス人の女優。「ナック」や「欲望」といったスウィンギン・ロンドンを象徴する作品に端役ながら出演、映画音楽の作曲家として知られる(007が一番有名)、ジョン・バリーと結婚していたこともあったが、早くに離婚。70's初めには渡仏して、セルジュ・ゲンズブールと恋愛関係になるが、この頃に歌手としてデビュー。ゲンズブールの元で何枚か印象的な作品を残している。といっても当時は、そんな情報はなかなか伝わって来ず、セクシーすぎるとして放送禁止になった"ジュ・テーム"にヒントを得た76年の映画も公開時は、バーキンがボーイッシュな体型だったこともあって、あまり話題にならなかったと思う。僕が最初にバーキンを見たのは、「ナイル殺人事件」('78)だった。80'sに入ってゲンズブールとの恋愛関係は解消され、映画監督のジャック・ドワイヨンがパートナーとなるが、そうなってからゲンズブールとの一連の作品が評価されたような気がする。小林麻美が"Lolita Go Home"をカヴァーしたり、娘のシャルロット・ゲンズブールが"Charlotte For Ever"をセルジュとの父娘相姦的なデュエットで話題となったり、といったことも日本では追い風だった気がする。90'sに入ると「渋谷系」による映画の再評価が始まり、ジョージ・ハリソン音楽の「ワンダーウォール」や「スローガン」も発掘された。一方では「ダディ・ノスタルジー」や「美しき諍い女」など同時代の仏映画女優としても、BUNKAMURA周辺で評価され、エルメスバーキン・バッグの名前のエピソード(エルメスの社長が、飛行機の中で隣になったバーキンがボロボロの籐のカゴに何でも詰め込んでいるのを見て、整理せずに何でも入れられるバッグを作らせて欲しいと申し出たエピソードに由来する)やら、自由な生き方に共感する人々の間で、カリスマ的な存在となった。数年前ドラマの主題歌となった"無造作紳士"の大ヒットによって、そのファン層が更に拡大された感がある。
さて、"ジョニー・ジェーンのバラード"は、73年の「Ex Fan des Sixties」収められたゲンズブール作のバラードで、映画「ジュ・テーム」(僕が見たのはシネ・セゾンのレイトショーだった。もちろん再評価後)の中でも効果的に使われてたもの。ゆったりとしたsteel-gは、アメリカ的世界なんだけど、そうは全く聞こえない。
動画はヴァネッサ・パラディバーキンのデュエット。そういえばパラディは最新型のロリータとして、90's話題を集めたことがあったなあ。