your#2

Your Saving Grace
■Your Saving Grace / Steve Miller Band
ティーヴ・ミラーは出身がシスコではないけど、60's末にシスコにやってきて活動しているので、僕の中ではJA、デッド、QMSなんかと並んでシスコ・サウンドなんだけど、世間では違うのね。というか、「未だレココレでは小特集すら組まれてないのは何でだ!」という思いはいつもある。
グリン・ジョンズがprodしたこともあって、妙にイギリスっぽいサイケな音だったデビュー盤から数えて、この「Your Saving Grace」('70)は4枚目になる。スティーヴ・ミラー(g,kb,vo)、ティム・デイヴィス(ds,vo)、ロニー・ターナー(b)、ベン・シドラン(kb)にニッキー・ホプキンス(kb)を加えた5人がラインナップ。前作「Brave New World」を最後にボズ・スキャッグスがバンドを離れたが、基本線は同じ。オーソドックスなブルーズのカヴァーはないが、ブルージーなオリジナルはある("Just A Passin'Fancy In A Midnite Dream")。信じられないくらい美しいメロディーの"Feel So Glad"や"Baby's House"は(特に後者は)、ある意味プログレ的かも(このあたりにもジョンズの影響が)。派手ではないがホプキンスの名人芸ともいえる歌を引き立てるバッキングが、冴える。タイトル曲は、ややサイケ調のもので、昔から僕はこの曲にバッファロースプリングフィールドのスティルス的な色を見てしまうのだ。

70'sに入ると「Joker」のヒットまでいささか低迷期に入る。というかヒットが出なかっただけでそれぞれ味わい深い作品なんだけど。「Book Of Dreams」以後はロックと言うよりもポップ。しばらくこの路線でミラーはスターダムにのし上がるけど、80's半ばから初心に帰ってブルーズ色濃い音に戻っている。


この時期のものはなかなかないけど、73年の時点で"Fly Like An Eagle"は出来てたのだ。