●Phil's Spectre Ⅲ / Varisous Artists

フィルズ・スペクトル(3)-フィル・スペクターの時代
英Ace製作のフィル・スペクター的な作品を選んだコンピ「Phil's Spectre」の第3弾。おなじみのミック・パトリックによる詳細な解説がついているが、無記名の対訳はかなり省略。日本盤とは名ばかりの形式だが、PVineちゃんと仕事しろ!
ライチャスのビル・メドレーがprodしたジェリー・ゲイニーの66年のシングルが両面収録。ノーザンな白人ソウルの典型。リリースはVerve。どっちかというとB面の"Just A Fool"のほうが好き。細かなpianoのイントロに分厚いコーラスが重なると思わずニヤリ。キット・カッツの"That's The Way"はフォーク・ロックmeetsスペクターとパトリックは称している。66年の白人4人組。
クロディーヌ・ロンジェのヴァージョンが好きだった"Look Of Love"(グリーニッチ=バリー作)だけど、ゴージャスなレズリー・ゴーアのヴァージョンもいい。64年のリリース。ボビー・シーンの"Sweet Sweet Love"は、ジェリー・リオペル(パレード)とニック・デカロの作品。それほどソウルフルではないけど、スペクター風の男性ポップとなっている。66年作。63年のカスタネッツ"I Love Him"はクリスタルズもどき。アルダー・レイの"Cause I Love Him"は、既にM&Mのコンピで紹介済みのものだが、一応これが正規盤。作者はイエロー・バルーンのゲイリー・ゼクリー。
ギャンブル&ハフ作のサファイアーズの"Gee Baby I'm So Sory"も手持ち。ガールフレンズの"Me One And Only Jimmy Boy"も手持ちだけど、音質が格段にアップ。このメンバーのキャロリン・ウィリスは後にハニー・コーン。63年にColpixからリリースされたシングル。作者はデイヴィッド・ゲイツ。スペクターがジェファーソン・エアプレーンをprodしてたら・・・という紹介がされてるアッシュズはピーナット・バター・コンスピレイシー前身で"Is There Anything I Can Do"は、67年のシングル。作者はジャッキー・デシャノンとデカロ。ややマイナーなトーン。当時ジャック・ニッチェ夫人だったグレシア率いるサティスファクションズの"Yes Sir That's My Baby"には、ブライアン・ウィルソンも参加してるという。ちと弱い。
"Da Do Ron Ron"風のarrの"Usher Boy"は見事なスペクター・イミテーション。歌ってるのは後にソウルフルな歌唱で知られる(ストーンズの"Gimmie Shelter"とか数々のコーラスワークとか)、メリー・クレイトン。63年のシングルで作者はケニー・ヤング。 シャーリー&リーで知られる"Let The Good Times Roll"をダルなムードで歌うのはジュディ・ヘンスク。エレクトラの女性フォーク・シンガー。クレイグ・ダーギーの前夫人だった人。切り込むアコギをもっと生かしてもらいたかったのが"He Really Loves Me"(デビー・ロリンズ)。もろ"Christmas"の"Goodbye Baby"は、モーリン・グレイの64年の作品。ジョージーソニー・サンズの"Down By The Ocean"は、ボブ・クルーの作品で、ライチャスもどきではあるが、なかなかカッコイイ。66年のシングル。マーサ&ヴァンデラスの"In My Loneley Room"は、キャンディー&キッシズの"The 81"風のビートもの。文句なしに楽しい。ボニー&ザ・トレジャーズのボニーが66年に出した"Close Your Eyes"もめでたく正規に音源化された。これはリオペルとゼクリーの共作。1910フルーツガム・カンパニーがこのコンピに入るのは珍しい。69年に出した"When We Get Married"はオールディーズ・マインドあふれる名曲。ラストがソニー&シェールの"It's The Little Things"。67年のシングル曲。