造反の美学

■Have You Seen The Stars Tonite / Paul Kantner・Jefferson Starship
BLOWS AGAINST THE EMPI
ホントは昨日に続いてその弟(ベン・テイラー)とかその叔父(リヴ)とかに続く予定だったんだけど、一昨日、Monaさんのレスが付いてたのでこちらに。
ジェファーソン・スターシップの名前が初めて使われた70年のアルバムで、日本では「造反の美学」という硬い邦題だった。ポール・カントナーのソロという事になっているが、カントナー&グレイス・スリック&フレンズ=ジェファーソン・スターシップといった感じか。
エアプレイン時代の「Volunteers」が大好きな僕も、実はこの「Blows Against The Empire」更にカントナー=スリックの「Sunfighter」は苦手だったりする。カントナーの描いたSF的な世界はSF界のアカデミー、ヒューゴー賞にノミネートされたほど。ただメロディーにもう少し丸みがあればなおよかった気もする(「Toolbooth & Chrome」との違いはそこだ)。
ゲストとして加わってるのは、デッドからビル・クリューツマン(ds)、ミッキー・ハート(ds)、ジェリー・ガルシア(g)、デイヴッド・クロスビー(g,vo)、グラハム・ナッシュ(vo)、エアプレインからジョーイ・コヴィントン(ds)、ジャック・キャサディー(b)、QMSからデイヴィッド・フライバーグ(vo)、そしてヨーマの弟のピーター・コウコネン(g)、エレクトリック・フラッグのハーヴィー・ブルックス(b)。
Monaさんがレスを付けてくれた"The Baby Tree"はウッドストックのフォーキーな女性ssw、ロザリー・ソレルズの作品で、カントナーがbanjo弾きながら歌うものでこれまた異色。そういえな「Dragon Fly」でもトム・パチェコの曲をカヴァーしたりと同時代のsswにさりげない目配せをしている。旧B面はBlow Suiteとされていて、6曲のメドレーとなる。どれも重いし、メロディアスじゃないのでとっつきにくいが、唯一の例外がクロスビーとカントナーの共作になる、"Have You Seen The Stars Tonite"。ガルシアのsttelに救われてる感じもする。フィル・ソーヤーのSEの入った"XM"など当時の感覚の「前衛性」見たいなものがinterludeとして使われ、ラストの"Starship"となる何故かハーヴィー・ブルックスまで呼ばれてしまっているが、この曲も気持ちを高揚させるものがある。ロック・オペラと考えれば、納得。個々の曲のメロディアスな感じなんて不要なのかも?