発掘者ダン

Pieces
■Prospector Dan / Juicy Lucy
紛らわしいけど、ダン・フォゲルバーグのことではない。ここのところずっとアメリカ寄りなので、バランスとる為に今日は英国ものを聴いていた。本当はフォゲルバーグのカヴァー曲とか参加ものに絡めたかったけど、無理なので名前つながりで、ジューシー・ルーシーのあまり聞き込んでなかった4枚目「Pieces」を。メンバーの出入りが激しいバンドだけど、この最終作では、グレン・キャンベルもクリス・マーサーも辞めてついにオリジナル・メンバーがいなくなった。ポール・ウィリアムス(vo〜後にテンペスト)、ミッキー・ムーディー(g〜後にホワイトスネイク)、アンディー・パイル(b)とロン・バーグ(ds〜共に後にサヴォイ・ブラウン)そしてセッション多数のジーン・ルーセル(kb)の5人。大半はウィリアムスが書きバンドの主導権は彼に移っている。この後のテンペストのヘヴィな感じはなく、米南部に根ざした英国流スワンプを完成させているが、なりきりザ・バンドというか、アクの薄いジョー・コッカー的な部分もかなりあって、初期にあったサイケデリックとかブルージーな要素は後退。それまでキャンベルという鋭いスライドを弾く人がいたおかげで、影が薄かったムーディーがやっと弾かせて貰ってる(この人のスライダーとしての素質が開花したのは、次のスナフーではなく、ホワイトスネイク時代だろう)"Cuckoo"(タジ・マハールがやってたブルーズという)がベストトラックだが、ズート・マネー作の"It Ain't Easy"(この独盤シングルをヘルシンキのレコ屋で買ったという話は前にも書いた)もいい。"Why Can't It Happened To Me"や"Prospector Dan"は前述の通り、ザ・バンド的な音。思えば、UKスワンプとは、なりきりザ・バンドの事と書いたのは誰だっけ?かなり核心を突いた発言だ。
このアルバムで解散したあとは、メンバーそれぞれ散らばって活動。90'sにBlue Thunderとしてメンバーが一部集まったこともあるし、初期のvo、レイ・オーウェンがジューシー・ルーシーを名乗って活動しているバンドもあって、例によって名前をめぐって揉めてるらしい。ヴェテラン・バンドはこのパターン多し、古くはピンク・フロイド、最近はウィッシュボーン・アッシュもそうだ。