#1 Five Live Yardbirds

●Five Live Yardbirds / The Yadrbirds
Five Live
最近はめっきりライヴに行く回数が減ったけど、ライヴへ行く事以上にライヴ盤が好き。知らないアーティストでどれを買おうか迷ったら即ライヴという時期があったっけ。(マイミクでもあるjudasさんいうところの「私を育てたライヴ・アルバム」だ)*1
手元にあるレココレ増刊の「All You Need Is Live」を見るとそのトップに出てくるのがヤードバーズのデビュー作にしてライヴの「Five Live Yardbirds」。
64年3月にかのマーキー・クラブでレコーディング、オリジナルは65年のリリースで、若きエリック・クラプトン(g)をフィーチャー。デビュー作なので、当然R&Bのカヴァーばかり。ハウリン・ウルフ、ボ・ディドリー、チャック・ベリーといったチェスのアーティストが多いのがこのバンドの志向性を物語っているがブルーズというよりは、思いのほかビートナンバーが多い。オープニングの有名なMC"Eric Slowhand Clapton"の後の"Too Much Monkey Business"からラストまで一気に聞かせる。これにインスパイアされてドクター・フィールグッドはデビュー盤をmonoで録音したらしい。原盤はColumbiaで、日本盤の初登場は東芝だった気がする。手持ちのは、80'sに英Charlyが再発し、キングから出た日本盤LP。久しぶりのちゃんとした形でのヤードバーズの日本発売ということで話題となった(音は悪かったが)。本音では、この後のジェフ・ベックをフィーチャーしたヤードバーズの方が好きなんだけど、歴史的価値、資料的価値を差し引いてもこの熱さは結構凄い。キース・レルフの「白い」voやharpも僕的には全くOKだった。

コマーシャルになりすぎた(グラハム・グールドマン作の"For Your Love"など確かにR&Bをベースにしたバンドとは違う世界)とバンドを抜けたクラプトンに代わり、ジェフ・ベックが参加。その後プロデューサーに転向したポール・サミュエル・スミスの後任としてジミー・ペイジが加わり、末期にはペイジをリードgにした「Little Games」をリリース。これは初期のR&Bバンドとはまるで別のポップ〜サイケデリアな世界。レッド・ゼッペリン結成前夜となる68年3月のライヴ音源が、71年に米Epicよりゼッペリン人気を当て込んでリリースされたが、これはメンバーに無断で出た事もあり、まもなく回収されたというレアな1枚となった(「Live Yardbirds Featuring Jimmy Page」)
 これはなかなか美しいイラストだと思う。

この当時のバンドの常で、英米でレーベル、タイトル、内容が違い、また初期のプロデューサー、ジョルジオ・ゴメルスキーの山師的な策略で、怪しげなアルバムが怪しげなレーベル(日本では東宝レコードなるところからリリース)から出て、肝心のオリジナルアイテムがずっと廃盤だった為、3大ギタリストを輩出したという事実ばかりがクローズアップされ、実際に音が聞けなかったものだから、イメージばかりが肥大して、「Five Live」を初めて聞いたとき、違和感があったことは確か。だから77年ごろに「モダンハードロックの元祖」と叩き文句がついた「Roger The Engineer」が「ジェフ・ベックヤードバーズ」として東芝EMIから再発(「必殺のブリティッシュ・ロック」シリーズかな)されて、おぼろげながらこのバンドの立ち位置がわかったような気がしたのだ。"Happenings Ten Years Ago"(幻の十年)を日本のクリエーションの、"Still I'm Sad"をブラックモアズ・レインボーのカヴァー・ヴァージョンで聞いてごまかしていた時代の昔話だ。

*1:ちなみにこのカテゴリーのタイトルはジャクソン・ブラウンから取ってる