08001 Stained Glass Morning

ステンド・グラス・モーニング(紙ジャケット仕様)
●Stained Glass Morning / Scott McKenzie
スコット・マッケンジーというと、サマー・オブ・ラヴ賛歌というか(モンタレー・ポップ・フェスのテーマ曲としてジョン・フィリップスが書いた)、フラワーでピースフルなヒット曲、”San Francisco”(#4)を思い出す。67年のこの大ヒットが生んだものは、多くの人々の熱狂がいかに移ろ気だったかということらしい。その後はパッとせず、70年に出したこの2枚目「Stained Glass Morning」は、非常に内省的なsswアルバム。
オード(一応エピックが権利を持ってるらしいが、デヴィッド・T・ウォーカーなんかはここから出なかった)側も、商業的ではないと判断したのだろうが、A&MのA&Rもやっていたデイヴィッド・アンダールがprod(マーク・ベノやジュディ・コリンズのprodで知られる人)。派手な曲は一切ないが、ロック的なニュアンスを感じさせるのは、ライ・クーダーのスライドの入った,"Crazy Man"と"Look In The Mirror"のみ。後者はラスティ・ヤングのsteelも聞け、なかなか素晴らしいカリフォルニア産のカントリー・ロック。残りの曲は、リズムがあまり目立たない、フォーク風の(ほとんどの曲でマッケンジーは、12弦gを弾く)ナンバーで、宗教的な歌詞のものもある。いささか難解だ。メロディーはあたたかみがあるが、単調に感じる部分もある。バリー・マクガイアのharmonicaが入った"Yves"はサッチモの"What A Wonderful World"みたいなメロディー。軽やかなflが心地いい"Dear Sister"、初期のサウザーみたいな"Illusion"がいい。
タイトル曲は静謐な反戦歌で、非常に地味。地味といえばクレイグ・ダーギーも目立たないけどpiano、harpsichordなどいい仕事をしている。"Goin' Home"のエレピもいい。アルバムは力強い"Take A Moment"で締めくくられるが、ゴスペル風のコーラスにも体があたたまる。もう少し早く聞いてたら、セレクトに入れていたのに・・・
逆光で撮った裏ジャケは美しい(デザインはカムフラージュ・プロダクションのトム・ウィルキス)。
原盤/Ode:77007 06年の紙ジャケ再発、解説は渚十吾ソニー・ミュージック・ダイレクト:MHCP1142 ¥1890