ねずみ#3

EXPRESSO II
■Three Blind Mice / Gong
明日から仕事なので、もう1つ更新しときます。
「Gazeuse」('77)で演奏主体のジャズロックとなったゴングだけど、78年の「Expresso?」(前作「Gazeuse」の米タイトルが「Expresso」だったことから、その続編的なニュアンスで付けられた)では、ついにリズム隊の4人だけになってしまった。ハンソフォード・ロウ(b)、ピエール・ムーレン(ds,perc)、ブノア・ムーレン(perc)、ミレイユ・ボーエル(perc)にゲストという形。これをプログレと呼ぶにはかなり違和感ある。というのはプログレというのは、本来ブラック・ミュージックからの影響が希薄な白人のロックだから。基本線はジャズながら、ロックへのこだわりを捨てていない。例えば
ミック・テイラーのgが入った"Heavy Tune"は、エキゾティックなpercが彩りをつけるが、基本線はブルーズ・ロックだし、様式美として確立された"Soli"も僕としてはロックだ。ゲストでは、前作までメンバーだったアラン・ホールズワースがノイジーなソロを弾く"Sleepy"、東洋風の音階に乗せてゆるやかなviolinソロをとるダリル・ウェイが印象的。
高速マリンバで知られるミレイユのプレイが堪能できる"Three Blind Mice"は、フランソワーズ・コウズ(conga)も加わって,percの乱れ打ちの中、合間を縫うようにクネクネするホールズワースのgも聞きもの。日本の配給が日本コロムビアからビクターにうつった英ヴァージンだけど、それまでの「プログレッシヴな」音から次第にレゲエとニュー・ウェイヴに移行しつつあった時期の1枚。本作を最後にアリスタに移り、ピエール・ムーレンズ・ゴングとなる。

Three Blind Miceというジャズの有名なレーベルもあるらしいけど、僕が思い出すのはアガサ・クリスティー原作の有名な戯曲「ねずみとり」。
ねずみとり (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)