#4 Bless Its Pointed Little Head

BLESS ITS POINTED LITTLE
●Bless Pointed Little Head / Jefferson Airplane
何度も書いてるがジェファーソンの長い歴史の中で、一番好きなのはマーティー・バリン、ポール・カントナー、グレイス・スリックの三頭時代のジェファーソン・スターシップなのだけど、その僕の好きな時期と、歴史的にも重みがあるジェファーソン・エアプレインはやはり別のバンドという感じもする。決して嫌いではないし、過去に何枚もLPを持ってはいたけど、売っては買って、又売っての繰り返しだった。

JAとして一番好きなのは69年の「Volunteers」でこれはその前作に当たる、68年秋の東西フィルモアで録音されたライヴで、JA全盛期の1枚とされるもの。これらを初めて聞いたのは高校時代の友人Kの狛江のアパートだった。K君は、大系的にロックを聞くことの重要性を教えてくれた「恩人」の1人で、上京すれば彼のアパートで名盤をせっせと録音していたのだ。
さて、先の3人に、ヨーマ・コウコネン(g)、ジャック・キャサディー(b)、スペンサー・ドライデン(ds)を加えた黄金の布陣。現在の耳で聞くと、基本はブルーズに影響された白人ロックなのだけど、コウコネンのgのフレーズにジャズ的なものを感じさせたりと、昔聞いてもあまり感じなかった部分が新鮮に感じる。 特にサウンドの核は、キャサディー(ジャケットに映る飲んだくれもキャサディーか)の弾むbassでコラージュの後、キャサディーのbassを先導に畳み掛けるような演奏が始まる、"3/5's Of A Mile In 10 Seconds"は実にカッコイイ。BBキングで有名な古いブルーズの"Rock Me Baby"という選曲は、68年という時代ではある種スタンダードな感じはあるけど、演奏面での充実ぶりは、例えばキャンド・ヒートあたりの同世代の米ホワイト・ブルーズ・バンドとは、次元が違う。うまく言えないが、スタイルとしてのブルーズにこだわった連中の上をいってるような感じなのだ。
"It's No Secret"などで聞ける、マーティー、グレイス、ポールのvoが絡み合う様は、かつて「シスコの自由な空気を代弁させる」と称された事もあったけど、開放感があっていい感じだ。フレッド・ニールの"The Other Side Of Thos Life"、ドノヴァンの"Fat Angel"のカヴァーもあり。
04年にリリースされたリマスター盤CDである本作は、更に3曲のボーナストラックがついていて、サイケデリックな"Today"が素晴らしい。