08004 The Atco Sessions:Lulu

Atco Sessions
Part1
グラスゴー出身のブルー・アイド・ソウル系のガールシンガーとしてキャリアをスタートさせたルルは、67年の映画「いつも心に太陽を」に出演し歌ったタイトル曲,"To Sir With Love"が#1になってアメリカでも注目された。僕は知らなかったけど、69年ビージーズのモーリス・ギブと結婚しレーベルを米アトコに移し70年に2枚のLP、数枚のシングルをリリース。これはライノから去年出たアトコ時代の全音源を集めた労作。1枚目はその2枚のLPを収録。
 前半の「New Routes」はアラバマのマッスル・ショールズ録音で、後にトラフィックに加わることになって僕は名前を覚えた、デイヴィッド・フッド(b)、ロジャー・ホーキンス(ds)、バリー・ベケット(kb)にコーネル・デュプリー、エディー・ヒントン、ジミー・ジョンソン、そしてデュアン・オールマンの4人のgが参加している。冒頭の"Marley Purt Drive"(ビージーズのカヴァー)でいきなりデュアンのスライドが聞けゴキゲン。全編こういった南部マナーと思いきや、そうでもなくヒット曲"Oh Me Oh My"(#22)、"Where's Eddie"などはストリングスをバックにしっとりと歌い上げる。元々歌のうまい人だけにそういうポピュラー・スタンダードな方面へ行くことも出来たろうけど、ここでは白いR&B的歌唱を展開。デイヴ・メイスンの"Feelin' Alright"、ビージーズの"In The Morning"、ジェリー・ジェフ・ウォーカーの"Mr.Bojangle"などの有名曲に混じって、ドリス=ミラーの"After All"がポツンと。これは同郷、スコットランドのストイックスというバンドのレパートリーで共作者のミラーとはもちろんあのフランキー・ミラー(ストイックスのvoだった)のこと。この曲はブリンズレー・シュワーツをバックにしたミラーの最初のソロにも収められていた。
 後半は同じく70年に出た「Melody Fair」から。前作同様ジェリー・ウェスクラー、トム・ダウド。アリフ・マーディンのprodだが、こちらはマイアミのクライテリアでの録音。選曲がぐっとシブくなり、ポップ的な有名曲はビージーズのタイトル曲、ラスカルズのブリガッディが参加したビートルズの"Good Day Sunshine"、ランディー・ニューマンの"Vine Street"くらい。あとはおそらくはマニアックなR&B曲だろう(再びジム・ドリスの"Take Good Care Of Yourself"が取り上げられている(これはミラーが「Full House」でカヴァー))バックはジム・ディキンソン(p,g)、サミー・クリーゾン(ds)、マイク・アトレー(org)、チャーリー・フリーマン(g)、トミー・マックルーア(b)からなるディキシー・フライヤーズにスウィート・インスピレーションズ(vo)。セールス的には失敗したLPだが、バカラック作の"Please Stay"、"I Don't Care Anymore"がいい。ここからのシングル"Hum A Song"(#54)を最後にルルはヒットチャートから遠ざかるが、81年の"I Could Never Miss You"(#18)でカムバック。これは日本のアルファが出資したAlfa Americaからのリリースだった。
CD2枚目のシングル+は後日。