このハーモニカを聴け!2

1)Country Girl:Ozark Mountain Daredevils ('74)
Ozark Mountain Daredevils
オザークスは、ミズーリ州(地図で確認してください)出身のカントリー・ロック・バンド。prodは初期のイーグルスを手がけたグリン・ジョンズとA&MのA&R、デイヴィッド・アンダールなんで、イーグルス的なものを期待してしまうけど、実はもっと田舎くさい、カントリー・ロック。スティーヴ・キャッシュのハーモニカを大きくフィーチャー。voはランドル・チョウニング。後にAORっぽいソロを出す(日本盤LPは鈴木英人だった)ラリー・リーはここのds。

2)Country Line Special:Cyril Davies & His Rhythm & Blues All Atars ('63)
Shot of Rhythm & Blues
シリル・デイヴィスといえば60'sの英国の白人R&Bの父的存在で、63年のこのシングルは有名なインスト。今聞くとジョン・メイオールばりに白いハーモニカ(デイヴィス)が印象的。バックには若きニッキー・ホプキンス(p)も参加。ここを参照。

3)朝は君に:吉田美奈子 ('76) 
FLAPPER
吉田美奈子の大傑作サード「Flapper」より。ティン・パン・アレーの重要なシンガーだったこともあって、ティン・パン〜ナイアガラ人脈とポンタ、松木恒秀らフュージョン人脈(六本木ピット・イン人脈かも)が激しくバトルする演奏も素晴らしい。ハックル・バックの佐藤博のエレピで始まるこのメロウな曲の締めはウィーピング・ハープ・セノオこと妹尾隆一郎の強力なハーモニカソロで、キマリ。

4)Meet Me In The Corner:Lindisfarne ('72)
Fog on the Tyne
今回英国ものがどうしても少なくなってしまって残念。「このハモ聴1」ではアラン・ハルのソロを入れたが、今回はリンディスファーンを。地元ニューキャッスルでは絶大な人気を今も誇る、スコットランドのフォークロック。これは名作「Fog On The Tyne」から。シャナナのヘンリー・グロスのカヴァーもあり。ハーモニカはロッド・クレメンツ。

5)Going To Mexico:Steve Miller Band
In Concert
生粋のシスコ出身ではないからか、シスコ・ロックと言うくくりではあまり紹介されないスティーヴ・ミラーだけど、70's半ばから全米的な人気を得るようになる。日本では紹介されてないが、02年にリリースされたKing Biscuit Flower Hourの音源は、73年と76年を収めた2枚組で全盛期の魅力を余すことなくとらえている。特に76年ものでは、大ヒット「Fly Like An Eagle」リリース前夜で、大きくポップロックに傾く前のブルージーな残り香も十分に感じ取れるはず。バンドのハーモニカ担当はノートン・バファローで、この人はソロもあるが、例えばドゥービーの"There's A Light"での名演も知られた名手。

6)A Child In These Hills:Jackson Browne ('72)
Jackson Browne
NGDBのジム・ファッデンが吹くハーモニカ(マウス・ハープって言葉がこれほど似合うプレイも知らない)がゴキゲンなナンバー。ラストの汽笛を模したプレイも素晴らしい。ジャクソンのファーストから。ここを参照。

7)It Ain't Easy:Ron Davies ('70)
サイレント・ソング(紙ジャケット仕様)
スリー・ドッグ・ナイトやデイヴィッド・ボウイもカヴァーした"It Ain't Easy"の作者ヴァージョンは実はかなりシブい辛口のアーシーなもの。くわしくはここ

8)Papa John:Hans Staymer Band ('72)
ディグ・ア・ホール
カナダ出身のssw、ハンス・スタイマーの72年作品「Dig A Hole」から。名義はバンドであることからわかるように骨太のスワンプ・サウンドが中心。ザ・バンドの"WS Walcott Medicine Show"のカヴァーが入ってることからその筋の人の間では有名なものだったらしいが、数年前日本のAir Mail RecordingsがCD化(ただ盤興しっぽい感じもある)。この"Papa John"にはオールド・タイミーなピアノに乗せたご機嫌なナンバー。吹いているのはスタイマーかな?

9)Mystery Train:Seanor & Koss ('74)
シーナー&コス(紙ジャケット仕様)
僕の一番好きなハーモニカ吹きは、ポール・バターフィールドかジョン・セバスチャンなんだけど、セバスチャンは本人のヴァージョンではなく、客演のこれで勘弁。サヴェージ・グレースというガレージ風にいたジョン・シーナーとロン・コスのデュオで、バックにはフィフス・アヴェニュー・バンドのケニー・アルトマン(b)、スパンキー&アワー・ギャングのジョン・サイター(ds)が参加。熱いアンプリファイアード・ハープ(マイクを挟んだ電気ハーモニカね)を聞かせるセバスチャンは素晴らしい。ゆったりとしたスワンプ・サウンドが心地いい。

10)陽のあたる大通り:ピチカート・ファイヴ ('94)
Overdose
ピチカート・ファイヴの94年作「Overdose」からシングルカットされた"陽のあたる大通り"は、元カーティス・クリーク・バンドの八木のぶおのゴキゲンなハーモニカ・ソロをフィーチャー。個人的にライヴにもガンガン行って一番好きだったころのピチカートだけに、シングル・ヴァージョンを紹介できてうれしい。

11)"B"Movie Box Car Blues:Delbert & Glen
Delbert & Glen Sessions 1972-1973
デルバート・マクリントンとグレン・クラークが組んでたデルバート&グレンはレーベルが、Cleanというマイナー・レーベルだったので、なかなか紹介されなかった。後年マクリントンがソロで成功して知られるようになった。これは「Delbert & Glen」('72)から。LAスワンプ(といってもよそからLAにやってきた場合が多い)の隠れた傑作。マクリントンの吹くハーモニカがキマってる。

12)Badi-Da:Fred Neil ('66)
Fred Neil
「このハモ1」では別曲を入れたが、今回はこの"Badi-Da"を。キャンド・ヒートのアル・ウィルソンのハーモニカが素晴らしい。くわしくはここ

13)Lonesome John:John Stewart ('72)
Sunstorm
昨年末惜しくも亡くなったジョン・スチュワートのワーナー時代の傑作「Sunstorm」から。写真家としても知られるヘンリー・ディルツ(MFQ)のハーモニカが素晴らしい"Lonesome John"を。シンプルなメロディーが素晴らしい。古きよきカウボーイの世界の再現だ。

14)My Angel Baby:Toby Beau ('78)
My Angel Baby: Very Best of
トビー・ボウはテキサス出身の4人組で、イーグルスの次の世代のカントリー〜ポップ・ロック。この曲は78年に#13まであがるヒットとなったが、ストリングスといい「作りこまれた」感じはある。後半海の香りがするハーモニカソロあり。吹いてるのは誰だろう?

15)Caldonia:Muddy Waters ('75)
The Muddy Waters Woodstock Album
「1」では別曲を入れたがマディ・ウォーターズの「Woodstock Album」は僕が持ってる唯一のブルーズのCD。まだ雪深いベアズヴィル・スタジオで繰り広げられたセッションには、リヴォン・ヘルム(ds)、ガース・ハドスン(acc)、ポール・バターフィールド(harp)らが参加。ルイ・ジョーダンのジャンプ・ナンバー、"Caldonia"は再結成ザ・バンドのステージでもリヴォンが歌っていた。ザ・バン道番外編といった感じ。

16)ホモ・エレクトスオリジナル・ラヴ ('93) 
RAINBOW RACE
オリジナル・ラヴの最高傑作の一つ、「Rainbow Race」から。鈴木茂(g)と松田幸一(harp)の絡みが素晴らしい。くわしくはここ

17)The Breadline:Paul Butterfield ('76) 
Put It In Your Ear
ベター・デイズ解散後ポール・バターフィールドが目指したものは、より拡大解釈されたブルーズだった気もする。75年の「Put It In Your Ear」から、少しスタンダードい・ジャズ的な感じもある。
くわしくはここ

18)I'm Restless:Roger McGuinn ('73)
ロジャー・マッギン(紙ジャケット仕様)
バーズに終止符を打ったロジャー・マッギンのファーストソロは、豪華ゲストに支えられたアラカルト的な内容だった。最近では評判はローリング・サンダー・レヴューの産物「Cardiff Rose」に負けるけど、「Roger McGuinn」も悪くない。ここでは盟友ボブ・ディランがハーモニカで参加している。

ライティング・ソフトの調子が悪く(WMPでは何度やっても書き込めないし、音とびがある)時間かかりましたし、何度も差し替えましたが漸く完成。
予定された方には送りつけますが、聞きたい方はこちらにコメントをお気軽にどうぞ。