#5アル・スチュワート

Year of the Cat
■Year Of The Cat / Al Stewart
mixiの名盤コミュでもとりあげたけど、僕にとっては忘れがたい1枚。元々はいかにも英国らしいsswとしてCBSからアルバムを出していたアル・スチュワートが、74年の「Past Present Future」でアメリカ進出を図り、77年の「Year Of The Cat」でブレイクを果たす。前作「Modern Times」で起用したアラン・パーソンズのprodで、その持ち味であるポップセンスが、随所に生かされて、イギリス的ではあるけれど、アメリカ的な明るさをも持ったメロディアスな作品群となった。
「現代の吟遊詩人」というのは、この人を形容する際に一時期盛んに言われた言葉だけど、今回も幅広い題材がとられている。旧日本盤LPのライナーで「初期のデイヴィッド・ボウイみたい」(平田良子)と称された"Lord Grenville"は、無敵艦隊と言われたスペイン海軍を破った16世紀の英国海軍の将、グレンヴィル卿を歌ったもの。タメまくる味わい深いgはティム・レンウィック(クィーヴァー)。"On The Border"はスペイン内戦の兵士の話で、タイトル曲と並ぶ代表曲。ピーター・ホワイトのスパニッシュ・gが耳に残る。66年のディランっぽく演った"Sand In Your Shoes"、スプリングスティーン風の"If It Doesn't Come Naturally"(いずれも本人談)とA面は佳曲が並ぶが、個人的なベストトラックは、「ピュアな英国フォークロック」な"Flying Sorcery"で、イントロから最後まで全部好き!シンプルなリズムセクションは、パーソンズコックニー・レベルから連れてきたジョージ・フォードとスチュワート・エリオット。物憂げなviolinの入った"Broadway Hotel"もいいがとどめはやはりタイトル曲。「カサブランカ」の世界から抜け出てきたような朝という一節で始まるこの曲は、後半フィル・ケンジーの印象的なsaxでピークに達するのだ。
猫尽くしとなったイラストのジャケットもちょっと新しい。
定番度■■■ 偏愛度■■■