cross#2

Flowers Of Evil
■Crossroader / Mountain
マウンテンというとレスリー・ウエストの巨漢振りから、肉体派のハードロックという印象があるけど、それ一辺倒なわけではない。むしろクリームのprodで知られるフェリックス・パパラルディ(60's半ばにはNYのヴィレッジ周辺のフォークロック〜サイケデリックなバンドに多く手を貸している)による知性的な作品を改めて聞くと叙情的ですらある(演奏スタイルはプログレではないけど、パパラルディ夫人のゲイル・コリンズによる歌詞などのコンセプトはプログレ的)。71年の4枚目「Flowers Of Evil」は、はじめて聞いたマウンテンのLPで、77年にCBSソニーが設立10周年記念の廉価盤シリーズの1枚だった。タイトルはボードレールの詩集から取られているらしいが、タイトル曲ではヴェトナム反戦も盛り込まれ、コリンズの歌詞は同時代のssw的でもある。この"Crossroader"では、ウエストのスライドが全面的にフィーチャーされたハードロック。不思議と泥くさいとか、南部的とかそういう印象はない。