職業#11

Dusty in Memphis
■Son Of A Preacher Man / Dusty Springfield
そろそろ飽きてきたかなあ。で、牧師です。
ダスティ・スプリングフィールドは、60'sから活躍する英国を代表した女性シンガーです。60's英国の女性シンガーというと、他にはペトゥラ・クラーク、サンディー・ショウ、シラ・ブラック、ジャッキー・トレントなんかが有名ですが、どうも全体にショービズ的な匂いが強すぎて、ある意味おとなしすぎる(オーソドックスな)イメージがあります。Pye、Deccaなどのコンピを90'sに聞きまくってましたが、結局はそんなイメージ。このダスティも、僕は、70's半ばのオバサンな姿が印象的で、どうも60'sの作品は積極的に聞きなおそうとは思ってなかったのですが、この「Dusty In Memphis」には目からウロコでした。

99年にRhinoから22曲入りが出た頃に放出されていた92年版(これもRhino製だけど、オリジナルに2曲足した14曲入り)を中古屋でサルヴェージした時から、もっと聞きたくなった1枚です。
Dusty in Memphis
ミュージック・マガジン別冊の「ブルー・アイド・ソウル」にもこの名盤「Dusty In Memphis」は載っていて*1、PhillipsからAtlantic移籍第1弾で、ジェリー・ウェスクラー、アリフ・マーディン、トム・ダウドという黄金期のアトランティック・ソウルのスタッフを起用し、メンフィスのアメリカン・スタジオでのレコーディングです。バックはレギー・ヤング(g)、ボビー・ウッド(p)、トミー・コグビル(b)、ボビー・エモンズ(org)、ジーン・クリスマン(ds)、スウィート・インスピレーションズ(vo)が参加し、あアリサ・フランクリンをリスペクトした極上のブルー・アイド・ソウルが聞かれます。
一般的にメンフィス・サウンドというと南部ですし、洗練度はイマイチの泥臭いカントリー・ポップな音を想像するのですが、ここではダスティの凛としたたたずまいとバックの音がミックスされて洗練された都会的な音になっていてビックリでした。
ゴフィン=キング、マン=ワイル、バカラック=デイヴィッドといった当世一の有名どころの作家陣に交じってランディー・ニューマンの2曲もなかなか印象的です。そのうちの1つ、"I Don't Want To Hear It Anymore"は、個人的なベストトラックの一つでしょう。スウィート・インスピレーションズのコーラスも胸を打ちます。
この"Son Of A Preacher Man"は、#10まで上がったヒットシングルで、イントロのel-pのしゃれた感じで即死です。最近ではジョス・ストーンもカヴァーしてたとか。

兄とやっていたスプリングフィールズを脱退後、"I Only Want To Be With You"*2をヒットさせ(英#3)、60'sは快調でしたが、70's以降は鳴かず飛ばずで、89年にペット・ショップ・ボーイズのリスペクトでカムバックしますが、99年に乳ガンで亡くなっています。同じ英国のトレイシー・ウルマンは"I Close My Eyes And Count To 10"や"Little By Little"をカヴァーしています。僕が英ガールズに興味を持つようになったのは、オールディーズっぽい世界をリアルタイムで披露したトレイシー・ウルマン*3の功績でしょうね。

いつ頃でしょう。preacher manのところで手を合わせるアクションはかわいらしい。

*1:英米でジャケットは違います。一番上が米、そして英

*2:"二人だけのデート"として知られるこの曲は、日本ではBCR、ツーリスツ(ユーリズミックスの二人がいた)、二コレット・ラーソンのカヴァーで知られています

*3:さりげなくサンディー・ショウの"Long Live Love"もカヴァー