rider#3

Stills/Illegal Stills/Thoroughfare Gap
■Midnight Rider / Stephen Stills
ティーヴン・スティルスのピークは、やはり70's初めでしょう。ニール・ヤングを加えたCSN&Yとしての活動と並行してリリースしたファースト・ソロ(キリンですね)から、幅広い人脈を生かして作り上げた最高のアメリカン・バンド*1、マナサスを結成したあたりまで。そこから緩やかに下降線を描きます。ただ引き出しと蓄えが多かったので、CBS移籍後すぐもそれはバレませんでした。「Stills」*2、「Ilegal Stills」あたりではまずまずでしたが、次の「Thoroughfare Gap」では、はっきり???となります。その間にCS&Nの復活が入ったので余計に感じますね。
あまり語られる事がないですが、当時の状況をまとめておきましょう。
77年に再結成されたCS&Nは、前回の再編時(CSN&Yとして74年)の教訓を生かして、なんとか1枚LPを作ることができましたが、この「CSN」が意外なくらい好調で、セールス的にも大ヒットを記録。その後のツアーも好評でした。この78年には、「Ilegal」に続く「Thoroughfare Gap」がリリースされましたが、当時のトレンドだったディスコ音楽に挑戦して見事に玉砕されてます。それまでの豪快なアメリカン・ロックが鳴りをひそめている失敗作です。ディスコとラテン色が濃い1枚でした。

オールマン・ブラザーズ・バンドの2枚目「Idle Wild South」に収められた、"Midnight Rider"は、アコースティックな手触りをもったオールマン初期の代表曲ですが、シングル向きと判断したのかライヴで演奏する事は少なかったようです。グレッグ・オールマンは初ソロ「Laid Back」('73)で再びこの曲を取り上げ、よりメロウにarrしヒット(#19)させています。他にはジューシー・ルーシーやジョー・コッカーボブ・シーガーのカヴァーもあります。

このカヴァーは知らなかったなあ
Laid Back  Get A Whiff A This
ティルスのヴァージョンは、ニール・ヤングの"New Mama"のように同世代のロック・クラシックをカヴァー(収められたもう一つのカヴァー、バディー・ホリーの"Not Fade Away"は少しまた違います)した感じなのでしょうが、荒削りで魅力に欠けます。

プロデュースは、おなじみのアルバート・ハワード*3。バックには新バンド、カリフォルニア・ブルーズ・バンドからゲリー・トールマン(g)、ジョージ・ペリー(b)、マイク・フィニガン(kb)、ジョー・ララ(perc)らが参加。このアルバムを引っさげてツアーに出るのですが、そこではボニー・ブラムレット(vo)、ジョー・ヴァイターリ(ds)も参加していました。当時の音楽状況からして仕方なかったのかもしれませんが、CBSソニーの広告もそれまでは大きく扱われていたのに、今回は脇に追いやられてしまってましたし、ブラムレットが加わっていたなんて話は、00年にデイヴ・ジマーのCSN&Yのバイオ本で知った次第でした。

アルバムの数少ないハイライトはアコースティックな感覚でさらっとまとめたタイトル曲、ダニー・コーチマー(当時はアティテューズを組んでいました)との共作になるブギ、"Can't Get No Booty"です。

*1:今でも最高のアメリカン・バンドを3つ挙げろ?と聞かれれば、ベター・デイズ、マナサス、SHFバンドというのは変わってません

*2:大好きなアルバムですが曲が短すぎます

*3:いつもはロン&アルバートとして兄弟でクレジットされる事が多いのですが今回は単独で