midnight#3

24 Carrots
■Midnight Rocks / Al Stewart & Shot In The Dark
アル・スチュワートというと、英フォーク・ファンには最近Collector's Choice MusicからCD化されたCBS時代の作品が人気ですが、ラジオから流れた"Year Of The Cat"に夢中になった世代としては、まずはリアルタイムなRCA時代です。
79年7月の来日公演は、この年3本目のロック・コンサート(ドゥービー・ブラザーズ、ボブ・ウエルチに続く)でした。名古屋市公会堂は6割から7割の入りでしたが、その少し前にやってきたイアン・マシューズ同様、久々の英国からやってきたssw(音はアメリカナイズされていましたが)として、プレスの評はおおむね好意的でした。そこでバックをつけていたのは、ショット・イン・ザ・ダークでした。

映画ピンク・パンサー・シリーズの前日譚ともいえる「暗闇でドッキリ」の原題をバンド名にした*1A Shot In The Darkは、アル・スチュワートのバックをつとめていたアコギの名手、ピーター・ホワイト(g)を中心とした5人組で、ナチュラル・アコースティック・バンド*2のクリシア・クリスティーナ(≒クリシア・コクジャン)(kb,vo)、バイザンティウム*3のロビン・ランブル(b)、アダム・ユアマン(g)、ブライアン・サヴェイジ(sax,fl)がメンバーです。80年にRSOからバンド単体としてもデビューしましたが、フリートウッド・マック・タイプの男女voのポップ・ユニットとして僕は結構面白かったのですが、間もなく解散しています*4

さて「Time Passage」に続く「24 Carrots」は、過去の出来事に題材を借りたおなじみの「吟遊詩人」ぶり*5で、冷戦下のスパイから17世紀の移民の話まで幅広いです。音は今となってはありふれた感じのポップですが。先ほど書いた初来日の中野サンプラザでの模様を会場で録音したカセットを80'sに入って聞かせてもらった事がありますが、この「Carrots」に入っている"Paint By Numbers"(これは現在も歌われています)や"Murmansk Run"も入っててビックリした覚えがあります。
"Midnight Rocks"は、アルとクリシアのデュエットでうたわれるナンバーで、シングル・カットされて#24まで上がったロマンティックなナンバー。後半のサヴェイジのsaxはお約束です*6

続くアルバムは「Indian Summer」という2枚組で3面ライヴ1面スタジオという変則的な内容で、「Live At Roxy」というタイトルでCD化されたこともありますが、これはプロモで配布された「Live Radio Concert」(通称ブルーアルバム)の出来がよく評判なったからと言われています。で結局このブルー・アルバムも「Time Passages Live」としてCD化されています。
 Time Passages Live

*1:当時のライヴで、"Pink Panther Theme"がメンバー紹介を兼ねてレパートリーに上がっていました

*2:69年にグラスゴーで結成された3人組フォークロックで、RCAに2枚のLPがあります。尚クリシアは本名のクリシア・コクジャン名義でのソロもあります。07年に移住先のアメリカで死去

*3:A&Mに2枚のLPを残したフォークロック。のちにブロックヘッズのチャス・ジャンケル(kb)、マイク・オールドフィールド・バンドのニコ・ラムズデン(g)らをフィーチャー。ローン・ジャスティスのシェーン・フォンテインもミック・バラカン時代に在籍

*4:それでもシングルの"Playing With Lightnings"は#71まで上がりました

*5:この「愛の吟遊詩人」的なキャッチフレーズにずいぶん苦しめられたことでしょう

*6:"Year Of The Cat"のヒット以来シングル曲には必ずsaxが入ってます