only#2

All Four One
■Only The Lonely / The Motels
70's末からアメリカでもイギリスのニュー・ウェイヴの影響を受けたバンドが続々と登場していますが、その多くは、いわゆるテクノなエレクトロニック・ポップではなく、当時のトレンドだった、Back To 60'sともいえるシンプルなロックンロール・バンドでした。
紅一点のマーサ・デイヴィスをフィーチャーしたモーテルズは79年にCapitolからデビューした4人組です。当時日本では、パール・E・ゲイツ率いるパール・ハーバー&イクスプロージョンズと並んで、LA産のニュー・ウェイヴとして雑誌にも大きく取り上げられていました。
本国以上にフランスとオーストラリアでヒットを飛ばしたバンドですが、デビュー後何枚かのLPがよくラジオでかかっていましたが、正直なところあまり覚えていません。アメリカのニュー・ウェイヴ・バンドは、リアルタイムで体験していますが、大半はわざわざそんなメロディーにしなくても…といったバンドが多かったと思います(例外はカーズ)。それでも82年の「All Four One」からカットされた"Only The Lonely"(#9)の憂いに満ちた歌声と演奏には大いに共感した覚えです。不勉強にもロイ・オービソンの同名曲のカヴァーとずっと信じておりましたが、まったく別曲でした。

このアルバムで突然変異的にこうなったのか、それともフロックだったのか、よくわかりませんが、けだるいメロディーと歌声が今の時代でも十分魅力的です。今回聞きなおしてスミスの"I Don't Owe You Anything"に似たものを感じました。
デイヴィス(g,vo)、ティム・マッゴーン(g)、ブライアン・グラスコック(ds)、マイケル・グッドロウ(b)の4人組で、このアルバムは3枚目にあたります。プロデュースは、ボー・ブラメルズのロン・エリオットがいたパンというカントリー・ロック・バンド出身で、80'sにキム・カーンズを手がけて有名になるヴァル・ギャレイです。
モーテルズは86年に解散、デイヴィスはソロへ転向しました。

全くの余談ながら、モーテルはモーター・ホテル(Motor Hotel)の略で、アメリカの道路事情の発達により郊外に建てられた、自動車旅行者の為の比較的安価な宿で、「サイコ」のノーマン・ベイツ(アンソニー・パーキンス)がやってたベイツ・モーテルが有名ですね。
日本では、ラヴ・ホテル(最近はブティック・ホテルとか言うらしいですが)の仲間みたいなもので、当地にはやたら多かった。どれも場末ないかがわしさたっぷりでした。子供のころあのお城みたいなものは何だろうと謎に思ったものでした。