music#3

■You Are The Music / Trapeze
You Are the Music..We're Just the Band
ムーディー・ブルーズのレーベル、Thresholdから70年にデビューしたトラピーズは、グレン・ヒューズ(b,vo)のディープ・パープル参加で一旦は解散していますが、メル・ギャレー(g,vo)とデイヴィッド・ホランド(ds)はメンバーを加えてバンドを再スタートしています。パープルが76年に解散後も、ヒューズは彼らと連絡を取り合い、しばしば一緒にやったりしていたようですが、やはりヒューズ在籍中の3枚、とりわけハードロック・ファンには72年の3枚目「You Are The Music…We're Just The Band」が人気高いようです。
ステージを後ろから撮ったジャケットはなかなかカッコイイです。最終的にはハードロックのジャンルにとどまっていますが、ヒューズのブラック・ミュージック志向は、当時の英ハードロック畑の人には珍しく、レイ・チャールズスティーヴィー・ワンダーをアイドルとし、ハイトーンのvoを聞かせる作風は、パープル参加後一気に開花しました。とりわけ「Stormbringer」と「Come Taste The Band」の2枚では、ファンク趣味とハードロックが混ざり合いオリジナルなものが出来上がったと個人的に高い評価をしています。
トラピーズ時代はまだそこまでではないですが、ハードロックに転向した「Medusa」に続く本作(かつては「連動」という邦題が付いていました)でもハードロックに縛られないファンキーな味付けが随所に見られます。B・J・コール(steel)、ロッド・アージェント(kb)、ジミー・ヘイスティング(sax)、フランク・リッコッティ(vibe)らゲストは、普通ハードロックのアルバムではなかなか見かけない面々で異色です。
タイトル曲の"You Are The Music"は、オープニングの"Keepin' Time"と対になったようなもので、スカスカの空間をしなやかなリズムが走り抜ける印象のナンバーです。ある意味トリオ編成でありながらクリームとは対極の位置にあった、グランドホッグスにも通じる部分あります。