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■Take A Man / Longdancer
エルトン・ジョンのRocketレーベルから73年にデビューしたロングダンサーは4人組のフォークロック・バンドです。この「If It Was So Simple」('73)は、ブライアン・ハリソン(kb,g,b,vo)、カイ・オルソン(g,vo)、スティーヴ・スプロクストン(g,harp,vo)、そして後にトゥーリスツ、ユーリズミックスデイヴ・スチュワート(g,mand,b)の4人がメンバーで、プロデュースはイアン・マシューズとセプテンバー・プロダクションと言う英フォークロック・シーンのユイ音楽工房(!)とも言えるマネージメントをやっていたサンディー・ロバートンです。こうやって挙げた名前に反応する方には、見つけたら「買い!」でしょう。曲によっては、フェアポート・コンヴェンションのデイヴ・マタックス(ds)、プレインソングのアンディー・ロバーツ(dulcimar)、マイティ・ベイビーのロジャー・パウエル(ds)、アシュトン、ガードナー&ダイクのトニー・アシュトン(kb)が参加しています。
まあCSN&Yの線を狙ったのでしょうが、イギリスらしさがよく出た佳作だと思います。ただなぜかほとんど顧みられない1枚で、CD化は勿論話題になることも少ないのが口惜しいです。dsはサポートに任せて、4人のコーラスを生かしたハーモニー・サウンドは、米フールズ・ゴールドを思い出したりもしますが、もちろんあそこまでコマーシャルではなく、いい意味での上品な英国ポップ(オーソドックスですけど)になっています。中心となっているのは、ナイジェル・オルソンの弟、カイでしょうか。しかしカイ・オルソンのHPによると、デイヴ・スチュワートとの音楽的相違から73年にバンドを辞めたと書いています(アルバム唯一のデイヴの曲、"Don't Turn Out In The Lights"は翳りのあるナンバーです)。
"Take A Man"は英国の香り高きフォーキーなナンバーで、スプロクストンのペンによるもので、次の"Crying Out Loud"と対になったような印象を受けます。極寒の風景が浮かんできそうな美しい音楽です。ベストと言えるのはやはりオープニングの"Silent Emotions"でしょうか。
74年にセカンド「Trailer For A Good Life」をリリースする頃には新たにメンバーを加え5人組となっており、エルトン・ジョンのツアーに同行したりしましたが、成功せずに解散しています*1
ユーリズミックスのサイトのここでわりと見られます。

*1:カイはChrysalisなどに2枚のソロの他、兄ナイジェルのソロにも参加。ブライアン・ハリソンはロビン・ドランスフィールドとのドランスフィールズに参加しています