lookin'for#2


■Lookin' For A Fox / Travis Wammack
ラヴィス・ワマックは、マッスル・ショールズのフェイム・スタジオの専属のギタリストだった人で、その傍ら60年に"Scratchy"というギター・インスト曲をチャートの#80に送り込んだりしました(数多くのシングルがリリースされています)。
72年にFameから「Travis Wammack」でアルバム・デビュー。これはジェームズ・ギャングやキャット・スティーヴンスのカヴァーもありましたが、僕としてはどっちつかずの印象でした。75年にリリースされた「Not For Sale」は、リック・ホールのプロデュースで、おひざ元のFameスタジオで録音されたものです。75年と言うと建国100年にむけて盛り上がりを見せていたアメリカのロックシーンでも、南部ロックのブームが一段落しつつ、オールマンズ、マーシャル・タッカーなどビッグネームに触発された新しいバンド、アーティストが登場してきた時期です。そんな一人としてワマックは相当のキャリアを持ちながら、Capricornより登場。なかなか、はじけたスワンプ・サウンドを聞かせます。ルーツとなっているサザン・ソウル色が、僕にはやや濃すぎると感じることもあるのですが、リオン・シェリフ、ピート・カー(g)、ランディ・マコーミック(kb)、ロジャー・クラーク(ds)ら気心知れたメンバーをバックにしつつ、リラックスした歌声を聞かせます。半数がオリジナルですが、クラレンス・カーターのヒット"Lookin' For A Fox"、ブルック・ベントン作の"A Lover's Question"、アラン・オデイ作の"Easy Evil"などのカヴァー曲も含んでいます。
"Lookin' For A Fox"は、68年のヒット曲で、それを現代的にarr。疾走感のあるロックンロールに仕上げています。カヴァー曲ではどちらかと言うとポップな持ち味を生かしている(これが成功しているのは何といってもグリーナウェイ=クック作でフォーチュンズがヒットさせた"You've Got Your Troubles"です)感じですが、この曲では直球一本勝負です。