think#3

リトル・ゲームス(紙ジャケット仕様)
11■Think About It / The Yardbirds
ジェフ・ベックジミー・ペイジの両方をフィーチャーしたヤードバーズは案の定、何か月も持ちませんでした。そもそもツアーに嫌気がさしたポール・サミュエル・スミス(b)の脱退から当初、bassistとして加わったペイジですが、腕利きのセッション・ギタリストとしての腕を放っておくわけにはいかず、"Happenings Ten Years Time Ago"のシングル(そのB面の"Psycho Daisies"も)や"Train Kept A Rollin'"の改作版で、映画「欲望」に使われた(ライヴシーンと共に)"Stroll On"では、クリス・ドレアがbに回り、ペイジはgを弾いています。
67年に入るとしばしばステージをすっぽかしていたベックはついに脱退。4人体制でヤードバーズは再スタートを切ることになりますが、ミッキー・モストのプロダクションと新たに契約し、ペイジとモストとセッション・マンのジョン・ポール・ジョーンズが中心となってレコーディングされたのが最終作となった「Little Games」です。これは米Epicから67年にリリースされた(イギリスでは85年になるまで出ませんでした)サイケデリック・ポップな1枚で、これまでにブルージーヤードバーズとはかなり色合いが異なります。もちろんブルーズを下敷きにしたナンバーもありますが("Drinking Muddy Water"、"Smile On Me")、それらもポップな味付けがされています。そしてストリングスの使い方なども実験的な遊び心もあります。これらの録音にはジム・マッカーティーやドレアはほとんどかかわってない様で、この辺は一時期のビーチボーイズにも似ています。ペイジとほかのメンバーとの力量の差が明らかになってきて、68年にはマッカーティーとキース・レルフが脱退、バンドは解散します。
「Little Games」の中には、ペイジがレッド・ゼッペリン時代に取り上げる"White Summer"など、ゼッペリン時代のヒントになったネタがいろいろあるようですが、"Think About It"もハードロックまであと一歩といった感じのナンバーでgがカッコイイです。BBC音源も91年にBand Of Joyから「On Air」としてCD化されました。