カレンダー・セレクト2009

あのカレンダー・セレクトから4年。改訂版としてつくりましたが、今回は12曲にこだわらず〜と考えたら膨らみすぎてしまいました(^^;

(1)Happy New Year:Beverly('66)

On Vine Street - The Early Songs Of Randy Newman

On Vine Street - The Early Songs Of Randy Newman

前回と同じオープニングです。英フォーク・シーンの鬼才、ジョン・マーティン夫人でしたビヴァリー(ジョン&ビヴァリー・マーティンとして2枚のアルバムが出ています)が60'sにアイドル時代だった頃のレコーディング。プロデュースは後にプロコル・ハルムを手がけるデニー・コーデルで、ランディー・ニューマン曲です。前回は「Girl Zone」という英ガールズのコンピからの収録でしたが、英Aceのソングライター・シリーズのランディー・ニューマン編「On Vine Street」('08)でめでたくCD化されました。

(2)雪降る街でノースリーブ:SOY('00)

SOY 2

SOY 2

山弦平松八千代(vo)を加えた形でスタートしたSOYですが、00年の2枚目「SOY 2」の後は開店休業中のようです。今や佐橋佳幸(g)は松たか子の旦那として、知名度も上がってしまいましたが、4人目のSOYとも言える鈴木祥子が歌詞を書いて、コーラスで参加しています。

(3)不二家ハートチョコレート'74:山下達郎('74)

その佐橋佳幸を僕が大いに見直したのは[山下達郎 Sings Sugar Babe]のステージでしたが、山下達郎が70's半ばの食えない時代に作ったCM曲を集めた「山下達郎CM全集Vol.1」はFCを通して購入できます。80'sのコンサート・プログラムに添付されたこのCDの前身とも言える7"を当時購入してますが、そこにも収められていた、♪恋はハートで〜で有名な不二家ハート・チョコレートのCM曲です。シュガー・ベイブ大貫妙子村松邦男です。

(4)Winter Song:Lindisfarne('70)

ナイスリー・アウト・オブ・チューン(紙ジャケット仕様)

ナイスリー・アウト・オブ・チューン(紙ジャケット仕様)

これも前回入れました。2月のイメージ。凍てついた部屋で飲む一杯の紅茶のごとき、あたたかな曲。英ニューカッスル出身のリンディスファーンは、現在も活動中の超ヴェテランです。地元では大変なヒーローのようです。この曲はジョン・ウィリアムスが書いた映画「ディア・ハンター」の曲にメロディーが似てて、前回はjunpeeさんがその曲を入れらして奇妙なシンクロニシティーにドキっとしました。70年のファースト「素敵に調子っぱずれで」(=Nicely Out Of Tune)から。ここまでが冬です。

(5)A Love Like Yours:Martha & The Vandellas('63)

Come & Get These Memories / ..

Come & Get These Memories / ..

3月と言えば、ひな祭りという事で女の子の曲。そういえば「ひな祭りセレクト」というのもいつも考えるのですが、なかなか実現できません。賛同者いらっしゃいますか?
さてMotownのマーサ&ヴァンデラスのファーストからのこの曲は、お馴染みのH/D/Hの作品です。くわしくはここ

(6)Homesick Kid:Compton & Batteau('70)

寒い土地こそ春の訪れがうれしいものです。米東部で結成されたコンプトン&バトゥの唯一のアルバムが「In California」というタイトルが付いてるのは、暖かなカリフォニアへの憧憬以外何物でもないでしょう。アル・クーパーが見出したアパルーサの中心人物だったジョン・コンプトンとロビン・バトゥのデュオで、ジェントルなフォークロックを聞かせます。この曲は、春の訪れを待つようなナンバー。未だCD化ならず。

(7)April Love:Stillwater('77)

これも前回入れました。映画「あの頃ペニーレインで」に登場したStill Water(スティル・ウォーター)というバンドは、おそらくゼッペリンあたりをイメージした架空のバンドですが、実在するスティルウォーター(こちらはひとつながり)もありました。Capricorn所属の南部バンドで、ウエット・ウィリーのジミー・ホール(vo)が、ウィリーと掛け持ちで参加。二匹の蛇がそれぞれの尾に噛み付き、輪状になった奇妙なジャケットからして、一癖ありそうですが、中身はわりと凡庸なサザンロック。但しこの曲は、美メロの絶品です。繰り返しますがこの手の曲はこれのみです(^^) タイトルに4月が入ってますが、女性名と引っ掛けてるのでしょうか? これまたCD化されてないと思います。

(8)I Wonder:Miss Abrams & The Strawberry Point 4th Grade Class('71)

Miss Abrams and The Strawberry Point 4th Grade Class

Miss Abrams and The Strawberry Point 4th Grade Class

以前他のセレクトで別曲を入れましたが、5月はこどもの日なのでチルドレン・コーラスが入ったものを。僕はチルドレン・コーラスだけではダメで、あくまでも主役は大人のvo、コーラスは子供というパターンが一番好きなんです。エリック・ジェイコブセンとエイブラム先生がprodしたこの「Miss Abrams & The Strawberry Point 4th Grade Class」は、
カリフォルニアのミル・ヴァレーにある、ストロベリー・ポイント小の4年のリタ・エイブラム先生のクラスによる心温まるソフトロックです。

(9)I've Got My Eyes On You:James Mason('77)

Rhythm of Life

Rhythm of Life

さてドライヴにぴったりの気候になりました。僕はスピードは出しませんが、もしカーラジオから突然こんな曲が流れれば、思わずアクセルを強く踏んでしまうでしょう。何を隠そう初参加した第4回セレクトでP5さんが紹介されていたものです。レア・グルーヴ界、ファンク・ジャズ界では有名な1枚らしいのですが、僕は何も知りませんでした。77年にChiaroscuroというレーベルからリリースされた1枚で、メイスンはロイ・エアーズ・グループのgだったということですが、ここでの後半のgは確かに聞きものです。Ninoska Escobar(ニノーシュカ・エスコバール?)という女性voもなかなかカッコイイです。

(10)Fire And Rain:Johnny Rivers('71)

Slim Slo Slider / Homegrown

Slim Slo Slider / Homegrown

6月は雨の歌と決まっている(^^;のですが、今回はJTの有名な"Fire And Rain"を、ジョニー・リヴァースのヴァージョンでどうぞ。リック・ネルソン、ディオンらの様にジョニー・リヴァースもまた60'sにすでに自身のスタイルを築いた人ですが、折からのsswブームで、こういう作品を作ってしまいました。「Home Grown」はキャロル・キングジャクソン・ブラウンら70's初めの同時代のsswの作品を取り上げた(つまりリヴァースからすれば、若手の作品を歌った)1枚です。

(11)Sound Of Summer Shower:Jerry Yester('66)

サウンド・オブ・サマー・シャワー

サウンド・オブ・サマー・シャワー

もう一曲雨の歌。というかもう初夏ですね。ピアノが印象的なインストです。江吉良ヴィン・スプーンフルに加わったMFQのジェリー・イエスターの66年のソロシングルのB面から。長門さんが編纂したMCAからのソフトロック集「Sound Of Summer Shower」('93)から。

(12)RPM:Four Speeds('62)

Barefoot Adventure: 4 Star Sessions 1962-66

Barefoot Adventure: 4 Star Sessions 1962-66

今度はサーフィン・ホットロッドから。僕もまあ詳しい方じゃないですけどゲイリー・アッシャーが絡んだ架空のスタジオ・グループらしいです。歌はアッシャーが担当。dsはデニス・ウィルソンが叩いてるという噂もあります。08年に出たアッシャーがらみのコンピのオープニングを飾っていますが、僕のは「Pebbles」から入れました。

(13)Down Along The River:Tom Johnston('78)

エヴリシング・ユーヴ・ハード・イズ・トゥルー

エヴリシング・ユーヴ・ハード・イズ・トゥルー

リック・シュローサーのタイトなds、マーク・ジョーダンのファンキーなclavinetとこういう曲があと3つあれば、このアルバムもぐっと盛り上がったろうになあ、と思いだすのは、トム・ジョンストンの初ソロ「Everything You've Heard Is True」です。ドゥービーを離れてのソロ第1弾となったわけですが、こういうソウル〜R&Bに根ざしたもので行くのか、従来のドゥービー調で行くのか中途半端になってしまった気もしますね。この男くささはやはり夏の音楽ですね。

(14)ムーンライトフライト:岩渕まこと('77)

昭和アーカイブス スーパー・ムーン

昭和アーカイブス スーパー・ムーン

近年は小坂忠とともにゴスペルの世界で名前が聞かれることが多い、岩渕まことのポップス時代の1枚。77年のデビュー作「スーパー・ムーン」はムーンライダースがバックを務めたナンバーの方が有名でしょうが、ここでは鈴木茂(g,arr)、田中章弘(b)、林立夫(ds)、佐藤準(kb)バックによるこの曲を。夏の終りから秋の初めに聞きたい浮遊感あふれるナンバーです。

(15)歩道橋:The Chang('96)

日曜日だけ咲く花

日曜日だけ咲く花

これも以前セレクトに入れたかなあ。TICAで活動する石井マサユキが組んでいた4人組The Changは2枚のCDを出して解散しましたが、都会で暮らす者の心のふちに浮かんだものを伝える忘れられないバンドでした。この曲はシングル"日曜日だけ咲く花"のカップリング曲で、クラブ・ミュージックの盛り上がりと共に思い出されます。

(16)Tiny Dancer:Elton John('71)

Madman Across the Water

Madman Across the Water

秋のさわやかな季節の中で、聞くsteel-gの響きは格別なものがあります。英国の有名なsteel奏者、B.J.コールによる調べがたっぷりと聞ける、エルトン・ジョンのこのナンバーも印象的です。初期のまだssw然としたたたずまいを残した「Madman Across The Water」('71)からです。

(17)Call Me Diamond:Mike Heron

スマイリング・メン・ウィズ・バッド・レピュテーションズ

スマイリング・メン・ウィズ・バッド・レピュテーションズ

寒くなってくると、温かな温泉がうれしいものですが、元インクレディブル・ストリングス・バンドのマイク・ヘロンのソロからのこのナンバーは、まさに温泉につかったような心地良さがあります。たとえば、ザ・バンドの"Islands"にも似た非欧的なリズム感覚が楽しいです。これをワールド・ミュージックと呼ぶとまた語弊があるのですけど。南ア出身のデュデュ・プクワナが大活躍のナンバーです。くわしくはここ

(18)Hands Straighten The Water:Pekka('74)

Keesojen Lehto

Keesojen Lehto

フィンランドのウィグワムというグループにいたペッカ・ポーヨラ(b)は、バンド脱退後ジャズ・ロック的なソロを出し、現在も現役で活動している人ですが、ウィグワムが英Virginと契約していた76年に、「Kee Sojen Lehto」を「The Mathmatician's Air Display」という英題でリリースした事もありました。かつて「遥かなる地平線」という邦題で紹介された事もあったのは、マイク・オールドフィールド(g)とゴングのピエール・ムーレン(ds)が加わっていたこともあるのですが、この"Hands Straighten The Water"は、極寒の風景が浮かんでくるナンバーです。その中で、雪の女王然としたサリー・オールドフィールドのスキャットが素晴らしいです。

(19)I'm Not Santa Claus:The 20 Hits

MINT SOUNDS X’MAS AL

MINT SOUNDS X’MAS AL

最後はクリスマスで、前回同様ミント・サウンドのクリスマス・アルバムから、ジミー益子率いる20Hitsを。ガレージ風のサウンドを持ったこの三多摩出身のバンドは、結局アルバムを出すことなく解散してしまいましたが、ファントム・ギフト〜スターリンナポレオン山岸(g)の弟、ケン・山岸のファズ・ギターがネオGSムードを盛り上げます。ちょうど80'sの終りに僕が熱中した音です。