song#3

シー・イズ・ア・ソング

シー・イズ・ア・ソング

37■She Is A Song / Rick Roberts
僕がリック・ロバーツの名前を知ったのはファイアフォールでした。気のいいおっちゃん然としたルックスとは裏腹の朗々たる歌声は、ファイアフォールのポップな面をうまく表していたと思います。ロバーツは、グラム・パーソンズ脱退後のフライング・ブリトウ・ブラザーズ(昔はバリットという表記でした)をまとめ、最初に解散するまでバンドに残った一人ですが、その時期のブリトウズは、スリルに欠けあまり好きではありませんでした。
ロバーツのソロは2枚あって、イーグルスのメンバーが参加したファーストの「Windmills」('72)はリアルタイムで紹介されましたが、2枚目の「She Is A Song」('73)は、一昨日のゲイリー・ライトと同様、78年のキングのロック名盤シリーズでやっと日本盤が出た次第です。
ウィンドミルズ

ウィンドミルズ

ここでのキーワードは、コロラドでしょう。ブリトウズ時代にもそういうタイトルの曲を歌っていましたが(リンダ・ロンシュタットがカヴァー)、当時コロラド州のボールダーを拠点としたミュージシャンが数多くいました。まず、ジョー・ウォルシュ、ポコ、スティーヴン・スティルスダン・フォーゲルバーグ…音が想像できるでしょうか。日本では簡単にウエストコーストと紹介されてしまいますが、コロラドは実際西海岸ではなく真ん中の山の中です。上にあげたアーティストは、基本的にはLA産のロックに近いテイストですが、豪快なロックンロールとメロディアスなナンバーという共通項があります。スティルスを敬愛するロバーツも、この地に移り住み、コロラドでレコーディングされたこのセカンドには、ウォルシュのバーンストームのメンバー(ケニー・パサレリ(b)、ジョー・ヴァイターリ(ds,fl))、ポコのジョージ・グランサム(ds)、ラスティ・ヤング(dobro)、スティルスのマナサスからポール・ハリス(kb)、ジョー・ララ(perc)、アル・パーキンス(steel)、クリス・ヒルマン(b,prod)が参加し、コロラド・オールスターズといった趣です。
とりわけスティルス色が濃い1枚で、スティルスの後継者に対する影響の大きさを感じさせます。ac-gとpercをリズミックに使い、すきまをorganやsteelが埋めるというマナサス的な音作りが今となっては貴重です。タイトル曲の"She Is A Song"は、ヴァイターリのfluteをフィーチャーした曲でどことなくネイティヴ・アメリカンの色合いを感じます。
その後スティルスのバンドを経て、ファイアフォールで成功を収めるのですが、ファイアフォール解散後、すっかり音沙汰でした。最近らしい動画がこれで、ランディ・マイズナーと一緒にやっております。dsはフールズ・ゴールドのロン・グライネル。