she#2

ブレイキン・アップ・イズ・イージー

ブレイキン・アップ・イズ・イージー

38■She Knows / James Griffin & Co
ブレッドと言うとデイヴィッド・ゲイツの書く甘いバラードがシングルヒットを連発していたこともあって、どうも画一的な印象があります。そんな印象があるから余計おざなりなベストで済ましてしまい、オリジナル・アイテムには手が出にくい、という悪循環(^^;;
ブレッドの中でスウィートな面を担っていたのが、もちろんゲイツですが、ビターな面(すなわちロックンロールな面)を担っていたのが、このジェームズ・グリフィンで、ブレッド解散後の74年にリリースされた初ソロ「Breakin' Up Is Easy」(Polydor)は、タイトルがバンド解散を皮肉ったような感じです。クレジットはグリフィン&Co.となっていますが、完全なソロです。旧メンバーのロブ・ロイヤー(g)、ラリー・ネクテル(kb)、マイケル・ボッツ(ds)〜つまりゲイツ抜きのブレッド〜に、ジェフ・バクスター(g)、リー・スクラー(b)、ラス・カンケル(ds)といったLAのセッション・マンを起用しています。
辛口な面を象徴させる〜と書きながらゲイツタイプのバラード"She Knows"を行きがかり上選んでしまったのですが、グリフィンとロイヤーの共作でブレッドを思わせるナンバーです。そしてそれ以上にこの曲の美しさを改めて思い出せたのは、ザ・バンドのリチャード・マニュエルの晩年の歌声で、再結成ザ・バンドが活動停止後(おそらくはマニュエルのアルコール依存症の問題があったのでしょう)、単独でバーで弾き語りのライヴをこなしていた頃の音源でしょうが、マニュエルの自殺後、ザ・バンドのボックス「Across The Great Devide」に収められたヴァージョンは、陳腐な言い方ですが感動的でした。02年になって85年のマニュエルのステージを収めたライヴ盤「Whispering Pines」がドリームズヴィルからリリースされましたが、あれもよかった。もちろん声に衰えはありますし、ピアノの弾き語りのジャジーなライヴだけあって地味ですけど。
ウィスパリング・パインズ~ライヴ

ウィスパリング・パインズ~ライヴ

Whispering Pines: Live at the Gateway

Whispering Pines: Live at the Gateway

ジャケットが変えられて米盤も出ました。
さて、話をグリフィンに戻しますが、スクラー=カンケル=バクスターという当代きっての名手が参加し、はじけるようなロックンロールを聞かせる"Love You Till The Cows Come Home"がベストトラックです。ドライヴするスライド-gも印象的です。グリフィンは77年に再結成ブレッドに参加後、2枚目のソロ「James Griffin」をリリース。80'sにはイーグルスのランディー・マイズナー、ビリー・"I Can't Help"・スワンとブラック・タイを結成し(このグループはマイズナー、スワン、リッチへと移行)ます。