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Rising Free: The Very Best of Trb

Rising Free: The Very Best of Trb

112■Right On Sister / Tom Robinson Band
ゲイである事をカミング・アウトするミュージシャンは英米の場合、今では少なくないが、77年当時、デビューしたばかりのトム・ロビンソン・バンドのリーダー、ロビンソンはウワサではなく公言し、ゲイ賛歌とも言える"Glad To Be Gay"という曲まで作ってしまいました。これは当時としては結構画期的な事で、色眼鏡で見るメディアも多かったですが(今でいう「やおい系」の人たちの間でアイドル視されてしまったこともありました)、何よりもパンク〜ニュー・ウェイヴとして紹介された多くのバンドの中ではストラングラーズやポリス同様音楽的骨格がしっかりしていたこと(つまりは素人ではなく玄人だったのですが)から、ゲイ云々よりも歌に込められた青臭いが真摯なメッセージをくみ取りファンとなった少女たちも多かったように思います。
77年の"2-4-6-8 Motorway"のヒットで注目されたTRBですが、そのシングルのB面がディランの"I Shall Be Released"だった事からわかるように、若きパンクスといった世代ではなく、大人です。ロビンソンはキンクスのKonkからアルバム1枚を出して解散したカフェ・ソサエティのメンバーで、ダニー・カストウ(g,vo)、ドルフィン・テイラー(ds,vo)、マーク・アンバー(org,vo)と共にTRBを結成しています。

デビューLP「Power In The Darkness」('78)は日本でも大いに話題となりましたが、その前に4曲入りライヴEP「Rising Free」がリリースされています。
先に紹介したゲイ賛歌の"Glad To Be Gay"、"Martin"そしてソリッドなロックンロールの"Don't Take No For Answer"("アンサーのノーはいらない"という邦題がカッコイイ)、"Right On Sister"の4曲です。
"Right On Sister"は「Power In The Darkness」のタイトル曲にも通じる政治的な題材のもので、女性の権利について歌ったものです。アンバーの弾くorganがバンドの勢いを感じさせます。